怒りの感情と上手に付き合えるようになるアンガーマネジメントってなに?

最近、新任リーダーや管理職の方向けに「アンガーマネジメント」を
カリキュラムに入れた研修を紹介することが増えてきました。

新しくリーダーや管理職を任されたはいいものの、
思うようにメンバーが動いてくれない、指示を守ってくれない、
という場面にイライラしてしまうことも珍しくはないのではないでしょうか。

イライラの感情をぶつけてしまい周囲とのコミュニケーションがギクシャクし、
思ったように仕事が進められない、というのは本当によく聞く悩みです。

人の持つ感情の中でも、対人関係のトラブルになりやすいのが
「怒り」の感情です。
そんな「怒り」をぶつけてしまったことで、パワハラだと
思われてしまうことも多いです。

ただ、「怒り」の感情は人間が生きていく上で非常に大切な感情のひとつで、
それ自体が悪いものでは決してなく、怒りの表現・表出の仕方に
よい悪いがあるだけなのです。

また、「怒り」の8割は自己満足のために表出している
不要な「怒り」だと言われています。

「怒り」の感情を出す時に、怒りの表現・表出の仕方をうまく使い分けることで
対人関係を良好にしていただきたいと思います。

アンガーマネジメントとは何か

アンガーマネジメントとは、イライラや怒りといった感情をコントロールすることです。
イライラしたり、カッとして出る衝動的な言動や行動を抑制し、
適切な問題解決やコミュニケーションにつなげるための手法です。

1970年代にアメリカで始まり、今ではフォーチュン500社にも
広く導入が進んでいます。

組織のリーダーや管理職にはイライラがつきものです。
しかし、大きなプレッシャーの中であっても、「怒り」の感情を
コントロールすることにより、職場の人間関係や雰囲気を良好にし、
目標達成に繋げなくていけません。

怒りの感情の原因は何か

感情的になり、怒りをそのままぶつけてはいけないと頭ではわかっていても、
人はなぜ怒るという一見ネガティブな感情をぶつけてしまうのでしょうか。

「怒り」の感情は、自分や他者に対して、相手が何か悪いことをしたせいで
芽生える感情だと考えてしまいがちです。
元をたどれば、相手の行為や言葉に対して、自分自身で「イライラする出来事だ」
という意味付けをして、自分自身で発生させてしまっている感情です。

起こったことそのものには意味はなく、出来事に意味づけしているのは
自分自身です。

つまり、「怒り」の本当の原因は、相手でも環境でも状況でもなく、
自分の中にあります。
「怒り」の感情は、こうあってほしい、こうあるはずだという、
自分自身のゆずれない価値観が原因で発生するのです。

怒りを表出させないための技術

「怒り」に対するコントールの基本はいたって明瞭で、他者に責任を求めないことです。
自己責任で考えて、自分にできることはなかったのか考えることが第一歩です。

たとえば仕事が遅い部下に対して、「急いでください!」と怒ってみても
仕事が早く終わるということはほとんどありません。
つまり、多くの場合怒ってみたところで状況は変わらないのです。

では、どうすればよいのでしょうか。
ここではあくまでも、自分でコントロールできることに集中するようにします。

仕事が遅いことを事実ベースで本人に自覚させ、
何が障壁となり、どんな仕事に時間がかかっているのか?
現状を改善するために協力してほしいものは何か?
などを部下との対話の中で明らかにしていくことなら、
自分でコントロールできるのではないでしょうか。

つまり、自分でコントロールすることができる、具体的な解決方法に
焦点を当てることが、「怒り」の感情をコントロールするために重要です。

研修では、自分でコントロールできることに集中するためのスキルを
4つに分けて説明しますが、今回はそのうちの1つを具体的に紹介します。

-怒りのレベル-
「怒り」の感情は幅広く、いくつかの段階に分けられます。
1)イライラする、不愉快だ
2)腹が立つ、動揺する
3)激怒、憤怒
4)爆発

この段階に応じて、自分の戒め方や納得の仕方、勇気づけ方などの
思考法をあらかじめ用意しておくという考え方があります。

たとえば交渉がうまくいかずイライラする時には、
「きっともっといい方法があるはずだ」
「考えを練り直すのにちょうどいいチャンスだ」
「必ず乗り越えられる」
というように、自分の好きな言葉を準備しておきます。

部下とのコミュニケーションがうまくいかずイライラする時には、
「勉強するよい機会だ」
「相手の価値観を知るよい機会だ」
「毎日の積み重ねが必ず実を結ぶ」
などの言葉があります。

他にも、ひどい失敗をしてイライラするときや、思うように成果が上げられず
イライラするときなど、具体的なシチュエーションと怒りの段階を想定して、
自分に投げかける言葉を用意しておくと、いざというときに
「怒り」の感情の表出を抑えることができます。

怒りの感情を上手に伝えるポイント

ときには「怒り」の感情を表出させて発散させないと、自分のほうが
ストレスで参ってしまう、と考える方は多いと思います。

そこで、少し視点を変えて、なぜ「怒り」の感情が生まれるかを考えてみます。
色々なパターンがあると思いますが、今回は
「いつまでも現状が変わらない」ことにイライラして、
ストレスが溜まっているパターンに焦点を当てます。

相手にイライラをなくすために改善したいことを上手に伝えることで、
相手の行動が変わったり、状況が変わっていけば
ストレスは減っていきます。

その時のポイントが以下の4つです。

・問題のあった行動に対する具体的な事実を提示する
・具体的にどんな影響があったのかを説明する
・その時にどんな感情が芽生えたのかを率直に伝える
・相手への尊重を示す

たとえば、
「また些細な確認ミスがきっかけで納期が遅れて、お客様に迷惑をかけてしまったよね」
「お客様もただでさえ忙しい時期なのに、さらに苦しい状況にしてしまった」
「何度も同じことが起こっているのに、今回もミスに最初に気づいたときに、すぐに相談してくれなかったことが寂しいです」
「お互いに改善点を考え、再発防止に努めましょう。〇〇さんの意見を聞かせてください」
というような流れです。
最後に相手の気持ちを聞くことを忘れないこと、気持ちを伝えあうことが
最も重要なことです。

アンガーマネジメント研修事例紹介

アンガーマネジメントを身に付けることのメリットには、

・感情を素直に表に出せるようになる
・言葉での意思伝達がスムーズになる
・違いの存在に寛容になり、自分の柔軟性や視野が広がる
・教育や指導でも役に立てられる
・仕事の生産性が上がる

などが挙げられます。

アンガーマネジメント研修を受けることで、自分の「怒り」が何なのかを理解し、
怒りの感情のもととなる「価値観」を見える化することができるようになります。
そうすることで、怒りの感情に邪魔されること無く、
チームメンバーと率直に相互理解を深めることができるようになります。

***アンガーマネジメント研修事例***

【ねらい】
・「心」や「感情」をコントロールし人生・仕事の成果をコントロールできる
・人間関係にマイナスな結果を引き起こす「怒り」をコントロールすることで
チームづくりに活かす

1)怒りの正体とは
・怒りの生まれるメカニズムとは?
・人はなぜ怒るのか?
⇒そもそも、怒りとは何かを考え怒りに対する思い込みに気づく

2)怒ることは悪いことか
・自分でコントロールするのか相手にコントロールされるのか
・間違った怒りによる対価とは
⇒怒りに対する理解を深め、怒りを無くすのではなくうまく付き合うコツを知る

3)怒らないことがなぜ仕事や人生の成果を変えるのか
・意思決定のプロセスとは
・微差、僅差の法則とは
⇒怒ることで自身に何が起こっているのか?人生にどんな影響を与えているかを肚落ちする

4)怒らない技術を体験する
・14の怒らない技術とは
・ケーススタディで4つの技術を実践トレーニング
・目の前の怒りを改善してハッピーになるために
⇒日々の生活や仕事で使える怒らないスキルをロールプレイングで身につける

5)怒らない技術を日常の中に取り入れる
目標設定
・研修のグループメンバーへの宣言
⇒日常や仕事のどんな場面で学んだスキルを取り入れ活用するのか

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