「こんなはずじゃなかった・・」やる気を失いかけた20代社員のためのキャリア開発の基本

梅雨も明け7月に入りました。4月に入社した新人が3ヶ月の研修期間を経て、
いよいよ仕事の現場に配属されていきます。

新人たちは
「仕事についていけなかったらどうしよう」
「上司や先輩とうまくつきあえなかったらどうしよう」
という不安を感じつつも、

「仕事で成果を出したい」
「周りから評価されたい」
「しっかり成長していきたい」

というやる気をもって、新しいスタートを切ろうとしています。

しかし、このやる気のまま突っ走れる新人は決して多くはありません。
なぜなら大抵の新人が、想像していた仕事と、実際に与えられた仕事とのギャップで悩み、やる気を失ったり働く目的を見失ってしまうからです。

そして誰もが必ず一度は考えたことがある“あのフレーズ”が頭に浮かぶようになります。

「自分にはこの仕事は向いてないのかも・・・」

かく言う私自身も、20代の頃は何かうまくいかないことがあれば、いつも
「自分には向いてない」「これは自分がやりたい仕事なのだろうか?」
なんてことを口にしていました。

今回のコラムは、悩める20代社員に必要なキャリア開発支援の基本について解説します。

20代社員が置かれている状況

新しく配属された新人は、現場での仕事はわからないことだらけです。

また新人研修期間と違って、これからやる仕事の手順をイチから教えてもらえるわけでもありません。戸惑いながらも少しずつ仕事に慣れていくしかないのですが、なかなか思ったように仕事を進められない新人たちにとっては、ストレスが溜まる日々が続きます。

そんな日々を我慢で乗りきり、ようやく一人でも仕事ができるようになった頃には、
入社時に抱いていた自分の目標や将来のイメージなどは、どこかに忘れ去られています

もちろん入社時の目標を追い続けることが絶対というわけではありません。
仕事で得られる知識や経験をもとに、目標や働く意義はブラッシュアップされていくものです。

しかし、20代の若手社員が、実際に担当している今の仕事や、少し上の先輩の状態を参考にして、改めて目標や将来像について考えてみても、必ずしも良いものがイメージできるとは限りません。

なぜなら、考えるのはこの先の数十年のことでも、
イメージのベースは、入社してから今日までの経験です。

ここまででこの先も成功を確信できるような成功体験をしている人なら、明るい未来をイメージできるかもしれませんが、ほとんどの若手にそこまでの成功体験はまだありません。

思考のベースにあるのは、わからないこと、思うようにいかないことを我慢した記憶です。

この思考のもとでは、うまくいったことはまぐれと感じ、すごい先輩は自分とは次元が違う人と考え、どうしても以前よりもネガティブな発想になりがちです。

その結果、今の自分にとってちょうど良い目標が何なのかわからなくなってしまいます

彼らの周りには、仕事のやり方を丁寧に教えてくれる先輩や、時に悩みを聞いてくれる上司もいるかもしれません。

しかし「目標が見出せない」という言い方次第では会社批判にもなりかねない悩みは中々
言い出しにくいものです。

いつしかこうしたモヤモヤとした悩みは、「こんなはずじゃなかった」というこれまでを
否定する想いになり、場合によっては、今の会社には見切りをつけ、新天地を探すという
転職活動にも繋がっていきます。

20代社員にとっての「働く意義」

20代社員にとってなにより必要なものは「働く意義」です。

これは「何のために働くのか?」という問いに対する答えでもあります。

ここであなたの周りにいる20代若手社員をイメージしてみてください。
「あなたは何のために働いているのですか?」
こう質問されたら彼らは何と答えるでしょうか?

アメリカの心理学者、アブラハム・マズローが提唱したマズローの欲求5段階説というものがあります。

これは人間の欲求は5段階で構成されているという内容で、
1段階目は、食事や睡眠のような生きるための本能的な「生理的欲求」
2段階目は安全かつ安心して暮らしたいという「安全の欲求」
3段階目は集団に属したい、仲間と共にいたいという「社会的欲求」
4段階目は社会の中で自分を認めてもらいたい、評価してもらいたいという「承認欲求」
最後の5段階目は、自身が使命感やこだわり、社会貢献などから自分が達成したいと思う「自己実現の欲求」です。

たとえば、働いたらきちんと評価してくれる良い会社は、4段階目の承認欲求が満たされる環境といえます。この逆で残業が多すぎたり、パワハラがあるような会社は、2段階目の「安全の欲求」さえ満たされない会社といえます。

<マズローの欲求5段階説>
1段階目:生理的欲求  (食事や睡眠などの本能的な欲求)
2段階目:安全の欲求  (安心して暮らしたい欲求)
3段階目:社会的欲求  (組織や仲間と共にありたい欲求)
4段階目:承認欲求   (評価してもらいたい欲求) 
5段階目:自己実現の欲求(使命、こだわり、社会貢献を果たしたい欲求)

会社で働く人に対し 「何のために働くのか?」と聞いたとき、
「生活のため」「稼ぐため」と答える人がいたら、その人は会社で働くことで、
3段階目の「社会的欲求」までを満たすことしか考えていないということです。

もっと言えば、その人にとってはある程度の組織に属しながら安定的に稼げるのであれば、仕事も会社も何でも良いということです。

そして実は、多くの20代若手社員も、まずはこの「社会的欲求」を満たすことまでしか考えられていないのです。

もちろん会社に入る前に描いていた理想や、ぼんやりとした将来像はあります。
しかし、それらは想像の中で作られたものでしかなく、現実の仕事の前では、いとも簡単に吹き飛びます。

仕事に慣れてきて、
自分が何をやって認められたいか?
どんなことをやってみたいか?
といった本物の「承認欲求」、
本物の「自己実現の欲求」は、働きながら形成されていくものなのです。

20代社員で順調に成長していく人は、自然に「承認欲求」や「自己実現の欲求」が出来上がり、それを原動力に変えて、仕事でもより良い成果を出せるようになります。

しかし、会社に入って戸惑いも大きく、思ったような評価も得られていない人は「承認欲求」や「自己実現の欲求」がうまく形成されずに、結果、その会社で「働く意義」が見つけられない状態に陥ってしまいます。

20代社員に必要なキャリア開発の支援

働いていくなかで、何から喜びを得るか、自己実現として何を成し遂げたいかは、
人や会社から与えられるものではありません。

その人が自分自身と向き合い、これまでやこれからのことをしっかり考えることで、
自分の中から湧き出てくるものです。

そのため、会社側も社員に自立を促す程度で具体的なサポートまではおこないません。
自分がどうなりたいかは、当人たちに委ねます。

しかし、この方針ではうまくやっていけない社員もいます。

悩める20代社員のためには、会社側は、彼らのキャリア開発について考える機会を与えることと、そのキャリア開発を実現するサポートをする必要があります。

キャリア開発とは、その人が職業人としてこれからの人生の中で、
どんな経験をして、どんな能力を身につけ、どうステップアップしていくか
を示した中長期計画とその実行です。

このキャリア開発の支援として、会社は具体的に以下の2つをおこなう必要があります。

・キャリアデザインをする機会をつくる
・キャリアパスとキャリアデザインを紐つけるサポート


【キャリアデザインをする機会をつくる】
キャリアデザインとは、その人の人生設計のようなものです。

仕事だけでなくこれらから人生でおきるさまざまなライフイベントについて考えることを
指します。

これは一般常識や世の中の生活水準から考えるものではありません。

自分がこれまで経験したことや、自分の性格などの内面的な部分にしっかり向き合うことで、はじめて自分がどうなりたいかが見えてきます。

このキャリアデザインについて考えるためには、それについてじっくり考える時間が必要です。また自分自身のことではありますが、それを人に話してみることで、その会話の中からヒントを得ることもあります。

これらを実現するために会社ができる具体的な施策は、
キャリアデザイン研修や、継続したキャリア面談制度です。

これらの施策によって、会社からキャリアデザインのやり方と考える時間をしっかり提供
することができれば、今度は社員がそれに応えてくれます。

社員は自分自身がどうありたいか、どのように成長していきたいかを考えるようになり、
またその場を与えてくれた会社には、社員の成長と人生を本気でサポートしてくれる会社
という印象を持ちます。

そして「自分も会社の一員でありたい、そして何らか貢献していきたい」
と考えるようになります。


【キャリアパスとキャリアデザインを紐つけるサポート】
キャリアパスとは、社員が会社内で昇進や望んだボジションになるまでのステップ、道筋のことをいいます。

たとえば、システム開発の会社であれば、
若手社員はまずシステムのテスト担当やプログラマーから始まり、システム開発の基本的な知識を習得します。

次に設計や要件定義などの上流工程を担当するシステムエンジニア、
そしてプロジェクト全体を指揮するプロジェクトマネージャーとステップアップしていき、最後はシステム開発全般の最適化を提案するITコンサルタントになるといった感じです。

この途中でIOTやデータ分析に特化したスペシャリストの道に進む人もいます。

人事制度がしっかりした会社であれば、このようなキャリアパスが入社時に社員に対して示され、どのルートを自分が進むのかを、社員が選べるようになっています。

しかし、本当に大切なのはキャリアパスを示すことではありません。

自身の人生の目標と、このキャリアパスがきちんと結びついていることがなにより重要です。言い換えるならば、この会社でしっかり頑張っていけば、自分が望んだ人生が歩めるという確信を持てることが、とても大切です。

定期的なキャリア面談などの場で、社員の意向、会社の現状、これからの可能性などについてじっくり話し合い、ここでキャリアパスとキャリアデザインが結びつき、働く動機付けまでしっかりできれば、社員はこれから多少の困難や悩みに面してもそれを乗り越えていけるようになります。

これは会社がいつも求めている社員の自立した状態そのものです。

なお、近年では、異動・配置変えを前提とした人事制度の作り直しや、副業や兼業を認めるような企業が出てきました。
これは会社が示すキャリアパスだけでは、社員のキャリアデザイン実現をカバー出来ない部分に対して調整した結果です。

周りからは、企業の話題作りのように見られるかもしれませんが、企業側が社員のキャリアデザイン実現を本気で考えたからこそ、カタチになったものと言えます。

キャリア開発支援の留意点
〜社員一人ひとりが輝けば人材は人財に変わる 〜

会社からできる社員一人ひとりのキャリア開発支援は、
研修、面談、資格取得やその他勉強の補助などさまざまなやり方がありますが、
このどれにも共通する注意点がひとつあります。

それは会社側の都合を押し付けようとしないということです。

会社としては、社員ができるだけ早く知識やスキルを身につけて、会社の戦力になってもらいたいと考えています。

この気持ちが社員に強く伝わりすぎると、会社としてはサポートのつもりでやっていても、社員としては通常業務以外でさらにプラスでやらなければいけない仕事として受けとってしまいます。

彼らの仕事へのモチベーションを下げる事にもなりかねません。
こうなっては完全に逆効果です。

20代の社員が技術的にも精神的にも成長を遂げるのはこれからです。
そして見事に成長してくれたときには、会社全体の成長にも貢献してくれるような
周りが頼れる存在になっています。

今、悩める20代社員を人材から将来の人財に変えるためには、彼らが今の会社でイキイキと働けるように彼ら一人ひとりに寄り添ったサポートが必要です。

キャリア研修事例紹介

ここからは、弊社で実際に実施したキャリア研修の事例をご紹介します。
演習も含めた一日間の研修事例です。

【研修事例】

テーマ:
20代のキャリア開発
ねらい:
日々の仕事や会社について閉塞感や頭打ち感を感じている20代社員に対し、
キャリア開発の解説と実践ワークをとおして、自身の成長に繋がる仕事への向き合い方と、会社での自身の可能性を発見してもらう。

内容:
① オリエンテーション
トレーナーから、本研修のねらいを説明します。

② これからの自分たちの“時代”を読む
これからの働き方と、「自分が今の会社で何ができるか?」という命題を考える重要性に
ついて解説し、受講者が自身の状況に置き換えて熟考します。

今の時代を表すキーワード:外部環境を整える
VUCA時代、人生100年時代など、今の時代において個人がどのように生きていくべきかを解説します。

④ 人生を生きる目的の理解
「自分は何のために生きている(働いている)のか?」日頃目を背けがちなテーマに
ついて、受講者とトレーナーが真剣に考え、語り合います。

⑤ モチベーション(人生の意味、働く意味)について
生きる上で最も大切なモチベーションについて、その本質を理解し自分にとって何が
モチベーションとなるのか、自分の軸となるものは何なのかを考えます。

⑥ 自分の燃焼率の確認
「今この瞬間にどれだけ燃焼できているか」自分の中のエネルギーの注ぎ方について、
スケーリング・クエスチョンで言語化しながら自覚します。

⑦ 自分の内側にある“美意識”を言語化する
自分が自分を見て最高に美しいと思える状態について、マンダラチャートへの書き込みと
ペアインタビューをとおして言語化します。

⑧ “我々に”期待されていることは何か:内部環境を整える
上司からの手紙を参考に、自分が周りから受けている愛情と期待について考えます。

⑨ これからの働き方を考える
ここまでの研修内容の総括として、自分のありたい姿、自分が理想とする働き方のために、今、必要なことを書き出します。

弊社では、個社ごとに完全オーダーメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが400名以上おり、
個社ごとに合った研修をプロデュースしております。

20代のキャリア をテーマにした研修バリエーションも豊富です。
本記事を参考に、是非自社の目的や課題に合った研修を実施してみてはいかがでしょうか。

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