クリティカルシンキングを身につけて、相手により的確でわかりやすいメッセージを伝えよう

クリティカルシンキング、この言葉を本やネットで調べたことがある、
研修事例などで聞いたことがあるという方もいるかと思います。

数年前から研修業界でもメジャーになった言葉です。
しかし、この意味について聞いてみると、
「なんとなくニュアンスはわかるけど、理解しているかと聞かれると自信がない」とか、
ロジカルシンキングとの違いがいまいちわからない」
という声もよく耳にします。

そこで、今日はこのクリティカルシンキングについてあらためて詳しく解説します。

クリティカルシンキングとは 〜ロジカルシンキングとの違いについて〜

クリティカルシンキングを日本語に言い換えると「批判的思考」と言います。
意味はこの言葉のとおりで、物事の前提や論点、結論に対して、
「本当にそのとおりなのか?」という批判的な着眼点を持って考えることです。
これをおこなうことで自身の思い込みを排除することができ、
より精度の高い考察ができるようになります。

このクリティカルシンキングを理解するうえで、それを難しくしているのが
ロジカルシンキングとの違いです。
この両者についてそれぞれの概要や目的がとてもよく似ているので、
どちらがどちらなのかわからなくなることがあります。

ここでその両者の違いについて簡単に解説します。

まずは、この両者の一致する点は、どちらも思考法であると言うことです。
そしてこの思考法を用いる目的も同じで、自分の考えや知識の整理、
相手に対してわかりやすく説明する場面などで使います。

次に、この二つの思考法をそれぞれ一言で述べるならば、
クリティカルシンキングが、「それは正しいのか?」という
批判的視点を持って考えること、ロジカルシンキングは、「何が正しいのか?」を
その根拠と結論を結びつけ論理の組み立てを考えるということです。

「それは正しいのか?」or「何が正しいのか?」これが異なるポイントです。

ここでちょっと想像してみてください。
・「これは違うのではないか!」と思っても、では何が正しいのかまでは考えつかない。
・「これは根拠があるから正しい主張だ」と考えて、その考えの正当性をまったく疑わない。

前者は、クリティカルシンキングはあるが、ロジカルシンキングが不足しており、
後者は、ロジカルシンキングはあるが、クリティカルシンキングが不足している状態です。
どちらの状態も、誤った結論に気づかなかったり、結果的にわかりにくなり、
説明をしてしまう原因になります。
何が言いたいかというと、クリティカルシンキングとロジカルシンキングは
表裏一体であり、特に仕事においては併用しないとより良い成果を出すことが
出来ないと理解する必要があるという事です。

こうして整理してみると、二つとも同じ思考法であり、目的も一緒、併用して初めて
その効果を得られるという両者の性質がこの両者の違いをわかりにくくさせる原因に
なっています。

しかし、このように違いがわかると、そもそもこの2つの思考法を区別することに、
それほど意味がないこともわかります。
前述で想像してみたように、どちらか一方しかない偏った思考で仕事が
成り立つことはまずありえないからです。

クリティカルシンキングのやり方 〜批判的視点を効かせる3つのポイント〜

上司や顧客からの指示や要望の理解、計画の策定、結果の検証、
プレゼンテーションの組み立てなど、「これはこういうものだ」と決めつけて
考えてしまうものであれば、そこにはクリティカルシンキングが必要です。

しかし、上司や顧客の言葉も一語一句、資料の一文字一文字を全て疑っていたら
きりがなく、仕事で成果を出すことはとても困難になってしまいます。

ここでは、クリティカルシンキングを効果的にするために、
着目すべき3つのポイントについて解説します。

クリティカシンキングを効かせるポイント その1「前提を疑う」
仕事で「その選択肢は最初から除外していました」とか
「そんな条件があるとは知りませんでした」といったやりとりを目にした事がある人は
少なくないと思います。
これはまさにその仕事の前提から、双方の認識にずれがあったために起きる事態です。

どんな思考においても一般常識やこれまでの経緯、自身の価値観といったものが、
無意識のうちに前提となります。

これはどうしようもないことですが、相手がいる仕事ではそこに不足や誤りが生じている
可能性があり、失敗やトラブルの原因に繋がることもあります。

ここでこれを回避するためにクリティカルシンキングを効かせます。
まずは、仕事で何か聞いたり考えたりする時は「前提となっているものは何か?」を
考えてみましょう。
前提がなんとなく見えてきたら、「その前提は正しいか?足りているか?」について
考えてみましょう。

例えば、
「あの資料は×日までに必要だから準備しておいて欲しい」という依頼。
自分は×日までに資料を作って提示すれば良いと考えても、
依頼者は×日には資料の確認後の修正まで済んだ完成版を必要としているかもしれません。

統計結果や周囲の意見などを参考に検討している際、統計のまとめ方に誤りがあったり、
意見収集の方法に思い違いがあれば、前提も全く変わり
正反対の結論になる場合もありえます。

もし双方の間で言語化されていないものや、抽象的な表現のものがあれば、
自分が考えている前提に相違がないかを相手に確認することをお勧めします。

また、これ以外の場面で、何度やっても成功しないとか、何度考えても
結論が堂々巡りになるような時も、その前提について「それは正しいのか?」
という視点で考えてみましょう。

クリティカシンキングを効かせるポイント その2「論点を疑う」
相手と一緒に話し合いや計画などを検討している際、
「そもそもそれ以前の問題があるよね」と言われたり、こちらが全く考えていない方向に
話が展開していくような事があります。

これは自分と相手の論点がずれているような時によくあるケースです。
論点がずれた考察や議論は、話が噛み合わないだけでなく、何らかの結論が出たとしても、
必ずしも自分が求めている結果に繋がらないことがあります。

考察や話し合いをする際は、論点はどこなのかを明確にしてから始めると良いです。
例えば、何か問題ごとの改善案を考える時、広い視点で全体から考えるべきか、
詳細なポイントをひとつずつ突き詰めていくのが良いか、
どちらからアプローチしていくべきかを先に決めると、
スムーズな考察や議論ができるようになります。

クリティカシンキングを効かせるポイント その3「結論と根拠の繋がりを疑う」
「これは◯◯である、なぜなら××だから・・・」一見すると結論に対して
一応理由があるので、正しい主張、正しい結論のように聞こえます。
しかし、ここでクリティカルシンキングを効かせてあらためて考えてみると、
その理由が結論と繋がらない時や、理由が不足している(根拠としては弱い)
場合があります。

このような状態を見つけるために、ひとつの手法で
「これは◯◯である、なぜなら××だから・・・」を
「××となっている、だから◯◯となる」と
言い換えてみるというやり方があります。

この手法はロジカルシンキングの基本の型であり
「Why so〜、So what」とも呼ばれます。

例えば、
「このプロジェクトは成功する。なぜなら計画書がとても良く出来ているから」
という主張があります、

この文脈の前後を逆転させると
「この計画書はとても良くできている。だからこのプロジェクトは成功する」
となります。

結論から先に言うと、プロジェクトの成功は計画書だけで決まるものではないので、
この主張は誤りと言えるのですが、後者の方がより強く言い切っている感じがあり、
主張としても違和感が浮き彫りになります。

別の例もあげてみます。
「私は朝食を抜いている、なぜならダイエット中だから」
「私はダイエット中、だから朝食を抜いている」

前者の言い方は朝食を抜いている理由を述べているだけですが、
後者は朝食を抜くことが当たり前のような言い方をしているので、
その方法はやめた方がよいと咎められるかもしれません。

クリティカルシンキングを定着させるための3つの習慣

常に批判的視点で捉えるというのは、簡単なようで難しいものです。
最初からその結論や内容に不満を持っていれば「なんでそんなことになるの?」
という想いもわきますが、その内容が自分にとって満足するものであれば、
それに対して疑いの目を持つことは余計に難しいものです。

最後に、クリティカルシンキングが
より自然にできるようになる秘訣(コツ)についてです。

<クリティカルシンキングが自然とできるようになる3つの習慣>
① とりあえず書き出してみる
② 理由(なぜ?)を考える
③ 選択肢(他に無いか?)を考える

まずは、頭の中だけで考えようとせずに、とりあえず書き出してみる。
次にその理由、根拠は何かを考える。
そして結論はひとつと決めつけずに他の選択肢も考えてみる。

これらが習慣付けば、必要に応じて「それは正しいのか?」という想いも
自然と湧き上がり、クリティカルシンキングができるようになります。

そしてクリティカルシンキングが身につけば、自分だけの思い込みが無くなり、
相手にとってもわかりやすく共感が得られやすいメッセージが
伝えられるようになります。

クリティカルシンキング研修事例紹介

ここからは、弊社で実際に実施したクリティカルシンキング研修の事例をご紹介します。
ワーク課題も含めた1日間の研修事例です。

【研修事例】
テーマ:
クリティカルシンキング

ねらい:
・自身の考えや説明から思い込みによる誤りを排除し、周囲にもわかりやすく
共感が得られる伝えかたを身につける

内容:
① オリエンテーション
クリティカルシンキングは学習して終わりではなく、
実際に使えなくては意味がないスキルであることを理解していただき、
研修後にどこまで使える状態になるかを、研修の冒頭に受講者と握ります。


②クリティカルシンキングの概要とその目的
クリティカルシンキングの必要性とその効果を、イメージしやすいように説明し、
受講者のレディネスを醸成します。
そのうえで、クリティカルシンキングについての基本知識をインプットし、
ポイントとなる3つのステップ
・着眼点(批判的視点を用いて考える)
・因果関係を整理(論理を再構築してみる)
・伝え方(要約と具体例をもって伝える)
を重点的に学ぶことで、実際に使うイメージを持てるようにします。


③着眼点を学ぶ ~ 批判的視点を用いて考える ~
ここからはクリティカルシンキングを使いこなすためのインプットと演習です。
この研修の課題図書を使い、クリティカルシンキングを効かせる重要なポイントを
見つけるところから始めます。

そして、クリティカルシンキング(批判的視点)によって、
課題図書で明示されている主張の対立軸となる主張を考えます。
対立軸を明確にすることで、もとの主張のどの部分が不明点なのか、
根拠や具体例で何が不足しているのかが浮き彫りなっていきます。
さらに具体的な活用シーンを紹介することで、スキルを使ってみようという
マインドを醸成します。
その後、実際に使ってみるワークを実施し、仕事でも活用できるようにしていきます。


④因果関係を学ぶ
自身の結論や主張をより的確でわかりやすいものにするため、
原因と結果の因果関係を整理する必要性とそのやり方を学びます。
因果関係のメカニズムを書き出すことで、それまで当たり前の事実として
捉えていた主張や前提が、自身の思い込みで成り立っていたことに気づきます。


⑤メッセージングを学ぶ
自身の結論や主張がどんなに的確なものであっても、
それが相手に正しく伝わらなければ何の意味もありません。
ここではメッセージの重要性と相手への伝えるために
必要なメッセージの要約と結晶化を学びます。
最後のワークではピラミッドストラクチャーを用いて、メッセージを構造化し、
根拠の漏れや相手にとってわかりやすい説明順にするトレーニングを行います。
どんなに複雑な内容であっても、ピラミッドストラクチャーで整理することで、
ポイントとなる箇所が明確になります。
このやり方が実際の仕事でもそのまま活用できることを体感できる
ワークとなっています。


弊社では、個社ごとに完全オーダーメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが400名以上おり、
個社ごとに合った研修をプロデュースしております。
クリティカルシンキング研修のバリエーションも豊富です。
本記事を参考に、是非自社の目的や課題に合った研修を実施してみては
いかがでしょうか。

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