「マネジャーのコーチングがうまくいかない理由」

コーチングとは?

コーチングが、再び注目されています。注目されているというより、
ようやく定着しつつあると言ってもいいかも知れません。

2000年代に、日本でも相次いでコーチングの専門組織が設立され、
ビジネスの世界において“コーチング”というワードが一般化されていきました。

数年前に、大手インターネット企業の「1on1」が話題となり、
コーチングや傾聴の有効性、必要性がさまざまな場面で説かれるようになりました。

しかし、企業におけるコーチングは、果たしてうまく機能しているのでしょうか?
組織メンバーの役に立っているのでしょうか?
あらためて、コーチングについて考えてみましょう。

そもそも、コーチングとは何なのか?
相手の話を聴くこと、質問することで、真の課題や必要な行動を明らかにし、
意識変容、行動変容を図る支援がコーチングです。

コーチングと対照的なアプローチとして、ティーチングが挙げられます。
ティーチング、つまり教えること、指導することです。
スポーツの指導者はコーチと呼ばれ、学校の先生はティーチャーと呼ばれていますよね。
コーチングとティーチングの違いは何なのでしょうか。

①何を支援するかの違い
コーチングでは、相手の「行動・思考」が対象となります。
対してティーチングでは、「知識・技能」が対象です。
②人間関係の違い
コーチとコーチングを受ける相手(クライアント)の関係性は、
あくまでフラットですが、ティーチングでは、教える人と教えられる人、上下関係です。
③おこなわれる場面の違い
コーチングをおこなうのは、日常的なミュニケーションなどいつでもOKですが、
ティーチングは時間を決めておこなわれます。
④質問をする目的の違い
コーチングでの質問は、相手の気付きを促すために投げかけられますが、
ティーチングでは、理解しているかどうかを確認するためにおこなわれます。

コーチングをおこなうことで、気付きを促し、パフォーマンスが向上します。
ティーチングによって、知識や技能を習得、向上します。

コーチングとティーチングのどちらが必要かは、相手の状況に応じて
判断する必要があります。
コーチングは万能ではありません。

ティーチングが必要な場面、教えてあげた方がいい場面もたくさんあります。
それは、コーチングを提供する側、ティーチングを提供する側が判断するしかありません。

マネジャーのコーチングがうまくいかない理由

マネジャーが、定期的に組織のメンバーの話を聴く機会を設け、
おこなうことを1on1コーチングと言い、多くの企業で導入が進んでいます。

コーチングのテーマは、業務の報連相ではなく、コーチングを受けるメンバーが
気になっていることや課題だと思っていることを設定します。

マネジャーは傾聴に徹し、気付きを促し深掘りする質問を投げかけます。
その結果、コーチングを受けたメンバーは、思考が整理され、
やるべきことも明確になり、モチベーションが向上し、行動が促進される
という効果が期待できます。

しかし、多くの企業で実施されている1on1コーチングは、期待通りの効果を
創出しているのでしょうか。

マネジャーがメンバーに対して実施する1on1コーチングは、
実はとても難易度が高いのです。多くの企業で導入されているので、
うちでもやってみようと、安易に導入してしまうと、コーチングとして機能せずに、
時間の無駄遣い、最悪な場合は、コーチングであるはずの時間が、
マネジャーによるチェックの時間になってしまう恐れもあります。

マネジャーによるコーチングを難しくする大きな要因は、立場の違いです。

会社のマネジャーとメンバーでは、明らかに立場が異なります。上下関係のある中で、
コーチングをおこなうことは、実はとても難しいのです。

業務おいては、マネジャーはメンバーに対し、指示命令することも多いでしょう。
また、メンバーの仕事ぶりを評価する立場でもあります。

そんな上下関係がある中でのコーチングでは、コーチングを受けるメンバーは、
なかなか本音を言いづらいものです。自分のミスや至らない点を指摘され、叱責を受け、
評価を下げてしまうかも知れません。マネジャーの視点から考えても、
コーチングよりも、もっとこうして欲しい、ここはこうすべきだったと
指導やアドバイスをしたくなってしまうでしょう。

はじめはコーチングのつもりだったのに、話していくうちになぜか
説教の時間になってしまった、なんてこともあるかも知れません。

では、マネジャーによるコーチングは、どのようにおこなえばよいのでしょうか?
どんなことに注意する必要があるのでしょうか?

コーチングにおいて最も必要なこと

コーチングでは、相手が本音をいえる関係性が重要です。そのためには、
信頼関係が必須です。

この人なら、本音を話しても大丈夫という信頼感(ラポール)がなければ、
コーチングにはなりません。
そのためには、マネジャーの日頃の態度やあり方が重要になります。

コーチングに最も必要なことは、質問のスキルなどではなく、聴く姿勢、
コーチのスタンスなのです。

いつも、上から指示命令し怒鳴ってばかりのマネジャーが、
いざコーチングとなった時に、急にニコニコしながら、
「本音で話していいぞ」と言ってもなかなか信用されません。

最初はなかなか大変かもしれませんが、1on1コーチングの時だけでなく、
日ごろも相手の話をしっかりと聴く姿勢を貫くことが必要です。

基本的なことになりますが、相手の目を見て、相手の言ったことを、
まずは一旦受け入れる、頷いて聴くことが必要です。聴いているということを、
相手に感じてもらえるように、しっかりと相槌をうち、相手の言った言葉を
繰り返すバックトラッキングを挟みます。

1on1コーチングの時間は、相手からしっかりと自分の話を聴いてくれる、
自分のために時間をつくってくれていると感じてもらうことが必要なのです。

どうしてもマネジャーの皆さんはすぐにアドバイスしたくなってしまうかも知れません。

相手もアドバイスを求めてくるかも知れません。しかし、まずは傾聴に徹すること、
相手がどのように物事を捉え、考えているのかを顕在化していくことが必要です。

すぐに、アドバイスをしてしまうと、メンバーは考えることを止めてしまいます。
自分で考えずに、マネジャーに聴けば答えを教えてくれるし、
怒られることもないからです。

しかしそれでは、マネジャーの時間がいくらあっても足りません。
いつでも、マネジャーが正解をわかっているとも限りません。

答えない課題の方が多いでしょう。メンバー自身が課題に対し
どのように考えるかを支援することも、コーチングなのです。


余談ですが、もちろん、話した内容は安易に口外してはいけません。
守秘義務はコーチングの大前提です(コンプライアンス上問題のある場合やトラブルにつながる場合はこの限りではありません)。

普段は、トップダウンのマネジメントをしているマネジャーが、
この時間はしっかりと自分と向き合って話を聴いてくれると認めてもらうようにするには、ある程度時間がかかります。

そんな時に変わるきっかけを、管理職とメンバーに対して与える手段として有効なのが、
あえて日常の業務外で実施する研修です。


弊社では、個社ごとに完全オーダーメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが400名以上おり、
個社ごとにカスタマイズした研修をプロデュースすることに自信を持っています。
皆さまの課題に合わせて研修を実施することで、より一層
コーチングによるメンバー育成が推進される企業を目指しませんか。

【コーチング研修事例】

テーマ:メンバーの自発性を引き出すコーチング研修

ねらい:
コーチングのスキルとマインドを身につけ、メンバー育成に活かす
育成への興味を高め、計画的にメンバーを育成できる考え方を身につける

内容:
①コーチングとは
コーチングというスキルを活用することによって何を得ることができるのかを理解します。
また、メンバーの自発的な行動を促すことのメリットをグループで議論し、
現状の職場のメンバーの自発性とのギャップを明らかにします。

②6つのコミュニケーションスキル
メンバーとの信頼関係を構築し、話を引き出すために有効な
コミュニケーションスキルについてロールプレイングを通して体感します。
特に、傾聴、ペーシング、承認は何度もペアでトレーニングを重ね、
現場に戻った時に実践できる状態まで感覚を鍛えます。
また、質問に種類があることを学び、場面に応じた効果的な質問手法を理解します。

③タイプ別のコーチングスキル
部下のキャラクターに応じたコミュニケーションのとり方を学びます。
4つのソーシャルスタイルの見分け方だけではなく、
そのソーシャルスタイルにジェネレーションギャップを含む、
今どき若手の特徴をかけ合わせて理解します。
また、具体的に自分の部署の若手を想定し、どのように関わり力を
引き出すかを言語化します。

④メンバーのプロファイルシート作成
メンバーはどういった人物か、メンバーのプロファイルシートの作成を通じて
明確化します。
また、プロファイルシートを作成する際に、メンバーのことを意外と理解していない
という現実を認識することもできます。
今後、どういったことに興味関心を持って、メンバーと接するようにすればいいかを
自分なりに整理しグループで共有します。

⑤今後のアクションプラン
次回の1on1面談に向けて研修での学びをどのように活かすかを明文化します。
また、メンバーをいつまでにどのレベルまで育成するのかを決め、
そのためにサポートを依頼したい人脈や提供したい情報のリソースを明らかにします。
3ヶ月、6ヶ月単位で行動計画を策定し、全体に対して宣言します。

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