女性活躍推進の現状
2019年6月には女性活躍推進法が改正され、
2022年4月からは従業員数101人以上300人以下の事業主が
新たに「一般事業主行動計画」の策定・届出義務の対象となることになりました。
また、2020年6月からは、従業員数301以上の事業主に対して、
女性活躍に関する情報の公表義務の項目が追加されており、
多くの企業で女性活躍への対応が求められています。
最近では、男性育休に関する法改正も決まり、
男性への支援も盛んになってきました。
そのような公的な後押しにもかかわらず、ジェンダー・ダイバーシティは
日本において課題であり続けています。
2021年3月に発表された、男女平等の度合いを示す、
世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」では、
日本は156か国中120位といまだ低迷しており、
2020年までに指導的地位に就く女性比率30%を目指すとしていた
政府の目標も未達成で、先送りの計画に書き換えられています。
日本が女性活躍の途上国にとどまり続けている背景には、
さまざまな要因が考えられますが、女性自身の管理職志向が低いということが
要因の一つとして指摘されています。
ライフとキャリアの両立が求められている背景とは
独立行政法人、国立女性教育会館の
「男女の初期キャリア形成と活躍推進に関する調査報告書(第五回調査)」
によると、入社時から一貫して、女性の管理職志向が男性のそれよりも低いことが
確認されています。
しかも男性の管理職に対する志望は、
入社1年目が97%、5年目であっても87.9%と維持されているのに対し、
女性の管理職に対する志望は入社1年目が60%、
5年目で37.6%と顕著に減少しています。
一方で、「男性の方がリーダーに向いている」と思う人は、男女ともに少数派で、
男性も女性も「男性の方がリーダーに向いている」と考えているわけではありません。
では、なぜ女性の管理職志向が顕著に減少するのでしょうか。
報告書によると、管理職志向のない女性の理由(複数回答)として最も多かったのが、
「仕事と家庭の両立が困難になる」(69.3%)でした。
ちなみに、男性と違いが大きかった回答は、
「自分には能力がないこと」と「同性の管理職がいない」ことでした。
この結果からも、仕事と家庭の両立が困難だと感じている女性や、
自分には能力がないと自信を持てない女性に対して、ライフとキャリアの両立が
できるような対策が求められています。
企業の女性活躍推進への取り組みの現状
対策が求められているとはいえ、以前から女性活躍が課題だと言われ続け、
2020年2月の内閣府男女共同参画局「第5次基本計画策定専門調査会」の
発表にもある通り、「やれることはやった」という企業も多いと思います。
・時間外労働削減、有給休暇取得推進と時間単位などでの取得推進、
子の看護休暇制度などの家庭と仕事の両立支援
・フレックスタイム制度、テレワーク制度、ジョブリターン制度などの
柔軟な働き方改革
・小学校入学祝い金、出産一時金などの福利厚生制度
このように、女性がキャリア形成を阻害する要因を排除しようと、
制度整備を進めた企業は多いです。
それでも女性活躍が思ったように進まない現状において、
他にできることはあるのでしょうか。
女性活躍を阻む真の要因とは
実は、女性活躍を阻む真の要因は、
女性社員にとって「働きやすい環境がない」ことではなく、
「ビジネスパーソンとして継続的に成長ができる環境がない」ことです。
そのため、女性社員が離職してしまう大きな理由としてキャリアイメージを持てないことが挙げられます。
その課題を解決するために、以下の3つの取り組みをおすすめします。
・アンコンシャスバイアスをなくす継続的な取り組み
・仕事と家庭の両立への不安を減らす取り組み
・女性が管理職になることの魅力と具体的なイメージの醸成
アンコンシャスバイアスをなくす継続的な取り組み
先ほど、女性自身が「自分は能力がないと認識している」という話をしましたが、
2017年の報告書では、以下のような報告があります。
「仕事が始まると男性の方が仕事を任されるようになり、
女性は男性社員がやらないような雑用的な仕事をやらされた。
男性はどんどん自信をつけていき、女性は自分が仕事ができないと錯覚するようになった。」
このことからもわかるように、マネジメント層がそもそも、
「女性活躍推進の重要性を認識していない」「自分とは関係ないと思っている」
といったマインドであるパターンも実際にはまだまだ多いです。
そのような場合には、マネジメント層に対して多様性推進を理解してもらうために、
アンコンシャスバイアスに対する継続的なインプットをおこなうことが有効です。
アンコンシャスバイアスは誰にでもあるものなので、
それ自体を否定することはありませんが、このような思い込みによって
ふと出てしまう会話や指示で、女性が自信を失う可能性は大いにあります。
マネジメント層に向けてアンコンシャスバイアスについて知ってもらう機会を
作るというのは、非常に重要な取り組みの1つです。
仕事と家庭の両立への不安を減らす取り組み
制度を整えることも重要ですが、それを使ってもらうことも同じくらい重要です。
特に女性の場合、結婚・出産・子育てなどにより機会やキャリアが失われることから、
働く女性が結婚・出産に対して消極的になり、育児と仕事の両立に強い不安を
感じている現状があります。
時間制約、その他制約、一時的な休業や家庭・プライベートとの両立を
可能にするための評価、職場環境、仕組みを作っていくことが大切です。
例えば、社内では、様々なライフイベントを経て管理職の仕事をしている方々を
招いた社内講演などがあります。
自分自身がライフイベントを迎える前にどのように制度を知ったのか、
どのように利用したのか、上司や職場メンバーへの根回しはどうおこなったのか、
など実体験を交えて複数人の先輩社員から伝える場があると、
制度や仕組みの活用は進みやすいと言われています。
個別に詳しくに知りたいことや不安に思っていることも多いと思うので、
質疑応答の時間をしっかり取ることや、参加者同士のその後の
ネットワーキング形成を支援することなども効果的です。
また、当事者である女性の不安を取り除く支援をするために、
外部セミナーを開催することも有効です。
例えば、仕事と家庭の両立を日々、もしくは中長期的に考えられるようにするために、
以下の4つの力について紹介するセミナーがあります。
・整理、共有する力
・補う力
・頼る力
・広げる力
詳しくは無料セミナーを開催してご紹介しますので、
是非お気軽にご参加ください。
※セミナー終了後は、編集した動画へのリンクを貼り直す。
女性のやりがいを高めキャリア形成を支援する研修事例紹介
最後に、女性のやりがいを高めるための研修事例を紹介します。
下記のグラフにある通り、昇進意欲とやりがいには関連性があります。

仕事に対するやりがいを感じられるようにすることで、管理職になることも、
自身のキャリア選択の1つとして考えられるようになります。
***研修事例紹介***
【私達の「いま」を確認する】
仕事や生活を振り返り自分たちの現在の気持ちに目を向ける。
そのうえで不安、グチ、ネガティブな感情を吐き出して「これから先」の気持ちを整理する。どのようにすれば解決できるのかを考える。
【自分のことを理解する】
自身のリソースと強みを洗い出す。
無限にあると思っている時間の限界と、残された時間や現実に目を向ける。
自分が大切にする考えや価値観(優先順位のつけ方)、自分らしさを内省して考える。
【ロールモデルについて考える】
ロールモデルとはどのような存在か?どのようなロールモデルが必要か?
ロールモデルをみつけたら何をするのか?をディスカッションし整理する。
そして自分自身がロールモデルになっている状態を想い描く。
【キャリアサクセスをつくる】
自分にとっての仕事が成功している状態を思い浮かべ、
ライフイベントの前にキャリアプランをつくる。
成功に向けた戦略づくりをしたうえで、仕事の目標、
達成したいことを明確にする。
【将来の姿をイメージする】
キャリアとは何か、ビジョンとは何かを理解する。
10年後の自分を想像し逆算して必要となるスキルや人脈などのリソースを整理する。
受講者同士のインタビューワークによって、さらに考えを深堀りしていく。
【キャリアプランニングをする】
30歳までの戦略的なキャリアの計画を立てる。
目標達成に向けた具体的な行動計画を上司に報告し、
どんな成果を上げるためにどのような支援が必要かを面談の場で伝え協力者になってもらう。