ポジティブアクションと言われていた頃は、もっぱら女性活躍が
テーマになっていたダイバーシティ&インクルージョン推進ですが、
現代ではそれが広がり、LGBTQ(最近ではLGBTQIAとも言われています)、
シニア、障がい者をはじめ、あらゆる多様性の尊重が叫ばれています。
近年、その中でも特に外国人材の活躍への期待がますます高まっており、
グローバルに活躍できるリーダー人材に注目が集まっています。
なぜ今、グローバル人材か
市場のグローバル化と言われるようになって20年以上経ちますが、
日本の国際的な競争力は決して高いものではないと言われています。
事実、1996年以降、日本の国際競争力は下がり続けているのが現状です。
2020年に発表された世界競争力年鑑では、日本の国際競争力は34位と、
前年から4位ダウンしました。
内訳を見てみると、最も課題の大きいのが「ビジネス効率性」の項目で、
日本は55位と前年から9位も下がってしまっています。
特に、企業の意思決定に関する経営プラクティスや、生産性・効率性が
足を引っ張ってしまっています。
時価総額ランキングでも上位に入るのはトヨタ自動車のみになってしまいました。
日本の国際競争力低下の要因はさまざま言われていますが、その一つに、
多くの日本企業では日本人しかいないという、多様性に乏しい環境が挙げられています。
そこで叫ばれているのが、外国人人材の活躍です。
なぜグローバルリーダーが必要か
「ビジネス効率性」の観点から、外国人人材の中でも、
特にグローバルに活躍できるリーダーに注目が集まっています。
グローバル・リーダーシップ・フォーキャストの調査では、
女性や多様な人種などのリーダーの割合の高さが、
業績の高さに最も関連する要因として挙げられています。
女性リーダーや多様な人種・文化的背景を持つリーダーの割合が業界平均を上回る、
ダイバーシティ&インクルージョン推進が進んでいる企業は、
業界の業績上位10%に入る確率が、8倍も高かったそうです。
ボストンコンサルティングなどでも管理職層や経営層における
多様性の重要さはたびたび指摘されています。
近年では、次世代を担う人材プールに多様な人材がいることの重要性が指摘されており、
だからこそグローバルリーダー育成について取り組む企業が増えています。
グローバルリーダーの役割とは
以前からグローバルリーダーの重要性はたびたび指摘されてきましたが、
本腰を入れて対策をしていた企業は少ないように思います。
ですが、2020年の新型コロナウイルス感染症の影響により、
「予測できない世界」が現実的になってしまい、グローバルリーダー育成への
取り組みを本格的に始めなくてはいけなくなったといえます。
「予測できない世界」の中で、明確なロードマップがないまま前進し、
変革に対応できるグローバルリーダーの存在に期待が集まっています。
グローバルリーダーとは、言語のみならず、国境、地域、文化など
様々な分断線を越境して幅広く活躍できるビジネスリーダーを意味しています。
求められるのは多様性や環境への順応しやすさであり、
ビジネスで国際的な活躍をするには、幅広い知識や教養だけでなく、
個人のスタイルを強く支える思想も重要です。
そんなグローバルリーダーと呼ばれる人たちに期待される役割は、
大きく分けて2つです。
①顧客、社員、ベンダーなど多様な関係者のマネジメント
②変化の激しいグローバル市場で自社のビジネス・製品の動向を把握し、
市場に適したビジネス活動の実践
もう少し分解してみましょう。
・グローバルな環境でのビジネス経験
・率先して行動を起こし、困難な状況を突破する
・ドメスティックな視点・思考の打破、既成概念にとらわれない視野と発想を持つ
・異なる文化・習慣・宗教観等を理解し、世界の人々と尊重しあえる心を持つ
・「共感と協働」による21世紀型リーダーシップの発揮
・ビジネスレベルの英語力
グローバルリーダーに求められるスキルとは
ローバルリーダーに求められる役割は非常に広いことが分かります。
そんなグローバルリーダーに求められるスキルには以下のようなものがあります。
・コーチング
・傾聴力
・パートナーシップの構築
・デジタル感覚
・変革力
・戦略的思考
・成果達成に向けてのチームビルディング
・コミュニケーション力
・英語力
・現場の巻き込み力(インクルージョンの推進)
上記はあくまでも一例で、その企業にとってのグローバルリーダーに必要なスキルは、
企業やサービスの特徴に合わせて十分に吟味して設定しなくてはいけません。
グローバルマインドセットとは
グローバルリーダーというと、どうしても上記のような
多くのスキルの習得に目が向きがちですが、
サンダーバード国際経営大学院のマンスール・ジャビダン教授らの研修で、
「グローバルマインドセット」という、海外での成否を決める
3つの要素が提唱されています。
①知的資本・・・グローバルビジネスの理解、複雑性の認知、コスモポリタン的な思考
②心理的資本・・多様性への情熱、冒険心、自信
③社会的資本・・異文化への共感、対人影響力、外交的手腕
グローバルリーダーの育成には、スキルだけでなく、マインドセットからの
アプローチも必要です。
研修では、ケーススタディを活用し、グローバルリーダーに求められる
姿勢やスキルについて具体的に理解し、自分自身を振り返る機会を持たせたり、
自分自身の思考や価値観、視点の偏り(バイアス)に気づいてもらったりします。
今回は、弊社の提供するグローバルリーダー育成研修の中から、
特に実践的な、米国のリーダーシップ研修における権威、
ロナルド・A・ハイフェッツ教授が提唱する、アダプティブリーダーシップ理論を
活用した研修プログラムをご紹介します。
弊社では、個社ごとに完全オーダーメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが300名以上おり、
グローバルリーダー育成研修のバリエーションも豊富です。本記事を参考に、
是非自社に合ったマインドセット研修を実施してみてはいかがでしょうか。
グローバルリーダー育成研修事例紹介
【グローバルビジネスを取り巻く環境を考える】
海外赴任や国境を超えてビジネスで活躍をしていくために
ビジネスの特徴や社員として必要となる意識について“グローバルな視点”で整理し、
共有する。
また、グローバル環境でのコミュニケーションにおいて重要となるのが
“自分自身の軸を持つ”ということなので、自分自身の考え方の特徴を、
脳科学分析ツールを使って確認する。
【グローバルの言葉で学ぶ】
ビジネス環境や、働く上で必要となる視点について、
英語による映像を見ながら内容を理解するとともに、英語の表現方法を知る。
また、簡単な英文を読むことで、英文書読解のポイントを理解する。
【チャレンジすることの大切さを体感する】
英語によるスピーチに挑戦することで、英語の表現の難しさと楽しさを体感し学ぶ。
それと同時に、グローバルビジネスにおいて大切な“とにかくやってみる”
“自分の軸を持ちしっかり表明する”というポイントを実践し身体で理解する。
【アダプティブリーダーシップ理論を理解する】
グローバルリーダーに必須の問題解決手法を学ぶ。
文化的・思想的な背景を越えて関係者の課題にアプローチし、
本質的な問題解決に導くための手法を身につける。解決方法が存在する
既知の問題への対処ではなく、未知・未体験の問題にどのように適応するかを
ケーススタディを通して理解する。
【具体的にどのように仕事に取り組むか】
自身に期待される仕事と役割を理解し、今後の具体的な目標を定める。
全体で発表をし、目標達成へのファーストステップを宣言する。