成果を生み出すリーダーが実践する「叱る」技術ってなに?

ダイバーシティ&インクルージョン推進働き方改革
ハラスメント防止など、メンバーが働きやすい多様な環境を整え、
個人を尊重することが当たり前になっています。

それ自体は喜ばしいことですし、弊社としても、今後も研修を通じて
ダイバーシティ&インクルージョン推進などのお手伝いをしたいと
考えております。
ただ、一方で管理職のコミュニケーションについてのお悩みが増えています。

今回のコラムでは管理職に必須のコミュニケーションのひとつである、
「叱る」について取り上げてご紹介します。

管理職には、チームや組織で成果を上げるために、
コミュニケーションの手段のひとつとして「叱る」ことが求められます。

皆さんの職場には、
・叱りたいけど後で何を言われるか分からないから叱れない
・個人を尊重しないといけないので、どこまで正していいか分からない
・叱っても部下はなかなか変わらないし、自分も嫌な気分になるので
できれば叱りたくない
など、「ものわかりのいい上司」になってしまっている方はいらっしゃらないでしょうか。

・管理職の考えを理解しようとしてくれない新入社員
・自分のキャリアだけを考えて周りが見えなくなっている若手社員
・会社になじまない中途社員
・態度だけは大きい年上の部下
・どう話しかけていいかわからない外国籍社員など、管理職は多様な部下と
人間関係を構築しつつ、成果を上げなくてはいけません。

実際に大人になってからの成長の2割が
「叱るフィードバック」によるものだといわれています。

叱ることで組織をまとめ成果を上げるスキルは、
管理職のコミュニケーションスキルで必須です。
叱り方を知り、より効果的におこなうことで、相手の行動や考えをよい方向に
変化させていくことができます。

ただ、叱ることは非常に難しく、デリケートな気遣いが求められます。
叱り方を間違えて信頼関係にひびが入ってしまうと、
修復することは至難の業です。

そこで、部下の成長を加速させる令和の叱り方のスキルを習得させたいと、
コミュニケーション研修の中に「叱り方」のプログラムを
入れることが増えています。

「叱る」とは何か

では、「叱る」とは実際にどのような行為なのでしょうか。
よく比較される言葉に「怒る」があります。

「叱る」と「怒る」は以下の2つの観点で違いがあります。

①目的があるか
「叱る」には、相手を正しい方向に導き成長を促すという目的があります。
相手の「できていない点」や「改善すべき点」を指摘し、今後に活かして、
成長してもらいたいと思って叱ります。
ですので「叱る」という行為は、叱る側と叱られる側の相互理解がないと成立しません。

一方で「怒る」には目的がなく、ただ自分の感情をぶつけるだけの行為です。
簡単に言ってしまうと、怒りを爆発させてスッキリしたいだけなので、
相手の理解は必要ありません。自分のために怒ります。

②公の立場かどうか
「叱る」という行為は、公の立場から発せられます。

前述のとおり、「叱る」目的は相手の成長を促すためです。
これは、経営者や管理職からの強い価値観の表明であるといえます。

この価値観から発せられるメッセージは、社員にとって「何が大事」かを
強く伝えることを意味します。
公の立場から発せられる「叱る」に込められたメッセージは、
企業の強みの根幹になる首尾一貫した「価値観」の習慣(企業文化)となり、
社員の「考え方」や「行動」に大きな影響を及ぼします。

一方で「怒る」は私の立場から発せられます。
これが続くと社員は委縮したり反発し、個人や組織に対してマイナスの影響が生まれます。

上手な叱り方とは

相手の成長を促すために「叱る」ためのポイントは大きく3つあります。

①「WHY」と「WHAT」を伝える
日常のビジネスコミュニケーションでも同じことがいえますが、「なぜ」の部分を
明確に示すことは非常に重要です。
自分がなぜ叱られているのか分からないと、相互理解が生まれることはありません。

なぜ叱られるかの因果関係を明確にすることが最初のステップです。

そしてダメだと指摘する部分を明確にします。
このときのコツは、改善につながりやすいように「叱る」ポイントを1つに絞ることです。

いくつも指摘したくなる気持ちはよくわかりますが、指摘する部分が増えれば増えるほど
叱られている側は訳がわからなくなり、気分が落ち込むだけで改善につなげられません。

叱るときには事前に指摘する部分をしっかりと整理して、
線ではなく、あえて点で叱ることが大切です。

②場所とタイミングを考慮する
叱るときには、「人前で叱らない」ようにすることが重要です。
相手の成長を促すために叱っているのに、人前で叱ってしまうと、
叱られている側は「恥をかかされた」と感じてしまいます。

特に外国籍社員は価値観や文化が違うので注意が必要です。

ただ、「叱る」行為は公の立場から発せられます。
社員として「何が大事」を強く伝える場でもありますので、周りのメンバーにも
メッセージを伝えたい場合には、あえてみんなのいる前で叱る場合もあります。

叱るタイミングは、叱るべき事象が起こってすぐのタイミングが良いといわれています。
タイムリーであればあるほど叱る効果が高まりますし、問題解決にスムーズに進めます。

ただし、感情をぶつけてしまいそうなときには叱る側が冷静になり、
叱るポイントを整理できるまで時間を空けることは有効です。

③4つのステップで叱る
叱り方には基本となる4つのステップがあります。このステップを意識するだけで
叱られた側の叱られた後の態度やモチベーション、行動が大きく変わります。

では、実際にどう叱ったらいいのでしょうか。

1.事実ベースで話す
たとえば会議に遅刻したときに、「これからは遅刻しないように!」と
いきなり要求をぶつけてしまうことがあります。

まずは遅刻したことや遅れることへの報告がなかったことなど、事実を話し、
その結果会議の進行にどんな支障が出たか相手との合意を得るところから始めます。

このステップを通じて大切なことが、自分の意思を短く的確に伝えることです。

2.感情を言葉で伝える
管理職が感情をおもてに出すことをネガティブに捉える風潮がありますが、
感情を伝えることは実はとても重要です。
今自分は怒っている、がっかりしている、悲しんでいるなど、そのときに感じている感情を
率直に伝えることで、叱る側も落ち着きますし、叱られる側も話を聞く姿勢になります。

3.望ましい行動を伝える
「叱る」行為の先には相手の成長がないといけません。
すいません、と謝罪の言葉を言われても何の解決にもなりませんので、 
改善して欲しい行動、望ましい行動を端的に伝えます。

このステップ全体にいえることですが、端的に伝えることで自分の意思が
より伝わりやすくなります。

叱る側から一方的に改善行動を伝える場合もありますが、「どう思う?」と相手の考えを聞いて、
その考えに対してフィードバックしたほうが相手の成長につながります。

4.メリットや今後の期待を伝える
自分が変化することで得られるメリットや成長、周囲へのポジティブな影響を伝えることで、
実際にやってみよう、という気持ちにさせることができます。

「将来こんな仕事をしてほしいと思っている」など今後の期待を伝えることも有効です。
叱ることをきっかけに行動を変え、成長を促していきましょう。

自分のために叱ってくれていることが理解できると、
信頼関係を醸成することにつながります。

叱ることができるリーダー、管理職になるためには

叱るためには、これまでご紹介してきたスキルがまず必要ですが、
部下から「あなたに言われたくない」と思われていたら、
叱られた側が行動を変えることはほとんどありません。

これは、日ごろのおこないが部下を叱るに足りるほどの説得力があるか、という問題です。
部下は思っている以上に上司の一挙手一投足を観察しています。

魔法の杖はありませんので、こうしたらいいという明確な答えはありませんが、
管理職は仕事に対するスタンスや資質を常に問われていると意識しなくてはいけません。

ただ、完璧である必要はありませんし、欠点がないということはありえません。
組織の中で管理職に求められていることと、今の自分の実態との
折り合いをうまくつける必要があります。

また、リーダーにもさまざまなタイプがあります。
カリスマ的な完璧なリーダーを目指す必要はありません。
リーダーシップ① リーダーシップとはなにか?
リーダーシップ⑥ 変革型リーダーシップってなに?
でご紹介していますので、ぜひご一読ください。

新任マネジャー向け研修事例紹介

今回ご紹介する研修事例は、「叱る」力もプログラムに加えた、
新たにリーダーや管理職になる方に向けてマインドセットをおこないながら、
部下とのコミュニケーションを中心にコーチングスキルを身につけることを目的とした研修です。

テーマ:
新任マネジャー向け研修(2日間)

目的:
メンバー全員を活躍させて、成果を出すためのマネジメントスキルを学ぶ

ねらい:
・「対話」がどのようなものか、意義や必要性、重要性を理解する
・「対話」を効果的に実践するためのコーチングスキルを学ぶ

学びのポイント:
・対話の本当の意味、意義を知る
・対話の効果を学び、今の自分とのギャップに気づく
・対話がどういうものかを理解し、日常的に実践できるようにする

内容:
①リーダー、管理職とは
リーダーや管理職の役割期待を認識し、マインドセットすることで、
次に続くコーチングスキル習得に前向きになるようにします。

②コーチングとは
コーチングとは「相手の自発的な行動を促すコミュニケーション手法」です。
自分が受けてきた良い指導方法と悪い指導方法を振り返り、全体に共有することで、
自分が目指す指導方法を明らかにします。

そして、コーチングを実践するために必須の、コミュニケーションスキルを習得していきます。
叱り方もこのパートで学びます。ほかには傾聴、ペーシング、承認、フィードバック、
質問のスキルについて学びます。
1日目の研修はここで終了です。

③現場での実践と振り返り
研修で習得したコミュニケーションスキルを現場で実践し、
2日目の研修の冒頭で振り返ります。
意識したことやうまくいったこと、いかなかったこと、難しかったことなどを共有し、
周囲やトレーナーがフィードバックをし、学びを深めます。

④タイプ別コミュニケーション
部下の特徴(キャラクター)に応じたコミュニケーションができるよう、
4つの特徴からスタイルを分けるソーシャルスタイル診断について学び、
タイプごとのコミュニケーション方法と見分け方を習得します。

その際、特定の部下との過去の関わり方を深く振り返り、
現場で実践するイメージを具体化させます。

そして、ほかの部下とも現場でコミュニケーションができるよう、
部下のプロファイルシートを作成します。
この過程で意外と部下のことを知らないという現実に直面することもできます。
作成を通じて、今後どういったことに興味関心を持って、部下と接するようにすればいいかを
自分なりに整理していきます。

⑤コーチングの実践トレーニング
コーチングを現場で活かせるよう、受講者同士で相互コーチングを繰り返していきます。

 

弊社では、個社ごとに完全オーダーメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが400名以上おり、
個社ごとに合った研修をプロデュースしております。
管理職がチームや組織で成果を上げるために必要なマインドセット研修、
コミュニケーション研修のバリエーションも豊富です。

本記事を参考に、是非自社に合った研修を実施してはいかがでしょうか。

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