仕事に当事者意識と責任をもつことの大切さ

・現状はなんとかなっているが、先行きがみえづらくなっているのに、
 社員に危機意識が感じられない
・問題意識を口に出すことはあるが、批評家のような立ち位置に留まろうとする
・会議など公の場で思っていることを発言しない
・会社や組織、トップ層にのみ変わることを求め、自分が変わる必要性に目を向けない

のような、社員に悩んでいる人事は多いのではないでしょうか。

ビジネスパーソンには、仕事に当事者意識をもち、
責任を感じて取り組むことが求められます。
特に最近は、業務効率化、グローバル化、DX推進、多様な人材活躍、
リスキリングなど、企業を取り巻く環境の変化が多岐にわたり、
かつ変化のスピードが速くなっています。

そして、変化のたびにさまざまな成功理論や実践モデルに振り回され、
いろいろ取り組んではみたものの、結局は成果があがらない、
なんてことは多いのではないでしょうか。

そもそも成果は、その達成の責任を引き受けなくては、生まれません。

ピーター・ドラッカーの著書「経営者の条件」にもあるように、
「組織の業績に対し、自分はどのような貢献ができるだろうか?」
を企業で働く全員が問い続けることが、成果につながります。

ですが、そんなことは分かっていても、
当事者意識や責任をもつことをためらう方が多くいらっしゃいます。

そこで今回のコラムでは、
・当事者意識とは何を意味するか
・当事者意識が低く、責任を引き受けることができない人の特徴や原因
・当事者意識をもち、責任を引き受けるメリット
をご紹介します。

当事者意識とは何か

「当事者意識」とは、
「自分自身が、その事柄に関係すると認識していること」
「その事柄の直接の関係者であるという自覚」という意味です。

つまり、ビジネスの場面では、自分は企業の大切な関係者の一人である
という事実を理解し、仕事は自分にとって価値があり、責任を伴う事柄だと
認識している状態を意味します。

当事者意識と同じように、仕事の場面でたびたび使われる言葉に「責任感」があります。
「責任感」とは、「ある役割を担う人がもつ、道義的な思想、合理的な判断、利害感情に影響されて醸成される意識」という意味です。

わかりやすく言うと、「自分の仕事をきっちりやろう」のような、道徳観や意思のことです。

責任感をもっているかどうかは、自分自身の問題であり、自覚しやすいものです。
一方で、当事者意識は、自分が直接の関係者であることを気づいていないことがよくあります。

前述の、
・問題意識を口に出すことはあるが、批評家のような立ち位置に留まろうとする
のような人は、責任感はあるが当事者意識がない、ということになります。

誰もが当てはまるからこそ気を付けたい!
当事者意識が低く、責任を引き受けることができない人の3つの特徴

仕事に当事者意識をもち、責任を引き受けて取り組むことができないと、
受け身の姿勢になり、周りで起こることは
“身に降りかかるもの”と考えるようになります。

そうすると、たとえば仕事で失敗してしまったときに、自分を被害者だと思い、
言い訳や他人への非難を繰り返して逃れようとし、結果として苦しい思いが続き、
自分が何も学ぶことができないだけでなく、組織内に
あきらめの空気が蔓延するなどのデメリットが生じます。

この状態を、被害者意識の悪循環に陥っている状態、といいます。

完璧な人間はいませんので、誰もが「自分は被害者だ」と思うことはあります。
ですが、そこにずっと囚われないように、気を付けなくてはいけません。
そこで、被害者意識に囚われたときにすぐに気づけるように、
当事者意識が低く、責任を引き受けることができない人の3つの特徴をご紹介します。

①すぐに言い訳を並べて責任逃れする
仕事でミスをしたり、計画通りに進まなかったりと何か問題が発生したときに、
まっさきに周りの人や環境のせいにして、言い逃れをしようとします。

実際、自分ではどうしようもできないこともありますが、
言い逃れはいつの間にか当たり前のように定着し、
自分以外を攻める攻撃的な態度に発展してしまいます。

②無視する
問題があるのに気づかないふりをしたり、
その問題の影響を受けているのに知らんぷりします。
産地偽装や品質をごまかすなど、いつか明らかになることを先延ばしにして、
自分の首を絞めてしまう結果となることは驚くほど多いですよね。

また、状況が改善することを願いつつ何もしない、
「様子をみる」行動にも注意が必要です。

③自分で解決しようとせず、他力本願なことが多い
仕事は自分の責任で行うものではなく他人ありきのものという意識をもち、
責任感も低くすぐに人に頼ろうとします。

何かをしなければ成果は得られないと気付いているものの、
巻き込まれたくないという思いが強く、
「余計な」責任を負いたくないと考えている状態です。

いちいち具体的な指示を求め、
「何をすればいいか教えてほしい」という言葉がよく聞かれると黄色信号です。

当事者意識が低く、責任を引き受けることができない原因とは

なぜ被害者意識の悪循環に陥り、当事者意識や責任をもつことが
できなくなってしまうのでしょうか。
その原因を3つご紹介します。

原因①:目的を理解できていないから
仕事の本質や目的を理解できないと、何のために仕事をしているかが分からず、
どうしてもやりがいや情熱が欠けてしまいます。

結果、「やらされ感」が生まれ、「他人ごと」になります。

原因②:周囲の状況が把握できないから
周りのメンバーがどのくらい会社にコミットしているかわからないと、
自分がとるべき行動のレベル感がわからなくなり、当事者意識がもちにくくなります。
特に日本人は周りをみて自分の足並みを揃える考え方が身についているため、
輪からあえて外れるような行動を恐れます。

また、忙しいプレイングマネジャーにありがちですが、
自分のことに精いっぱいで周囲の状況が把握できなくなることもあります。

原因③:言い訳をするほうが楽だから
当事者意識をもち、責任を引き受けて仕事に取り組むよりも、
言い訳をするほうがはるかに“楽”です。
遅刻をする、約束を破る、担当作業を怠る、などさまざまな場面で
言い訳があふれています。

言い訳には、失敗の本当の理由や考えるべき事情がある場合もありますが、
それが当たり前になると個人にとっても組織にとっても悪い影響が生じます。

当事者意識をもち、責任を引き受けるメリットとは

当事者意識をもち、仕事の責任を引き受け主体的に働くことのメリットには、
以下の4つが挙げられます。

主体性のある行動ができる
当事者意識をもち、仕事の責任を引き受けることは、主体的な行動につながります。
また、仕事をやり遂げようとモチベーションが上がり、仕事への愛着も強くなります。

「やらされている仕事」から「自分がやるべき仕事」に変わることで、目標達成に向けたプロセスが自分ごととなり、誰かに依存するのではなく、自分で素早く、的確に判断するようになります。

やりがいが生じる
主体的に動くときには、最善を尽くすことに意識が向かいます。
考えられる方法の中で最もよい方法は何かを考え、自分に与えられた役割を果たそうとすると、自分が期待されている以上の結果につながりやすくなります。

そのような行動や結果は、上司や部下、同僚との強い信頼関係を生みますし、当然、自分の評価にもつながります。

人間関係が良好になったり、評価がよくなれば、やりがいが生じます。
ときには、重要な役割を任されることにつながり、やりがいが増えることもあります。

自律的な成長につながる
仕事を最後までやり遂げるということは、そのために努力をする、ということです。
努力をすることで、自分自身へ負荷をかけることになります。

人は、自分に課せられたハードルを越えることで成長することができますが、
努力をし続けることは困難です。
これは、新人でも管理職でも同じです。
やりがいを感じる、やりがいが増えることは、努力をし続けることにつながります。

また、変化を受け入れやすくなることもメリットのひとつです。
こちらのコラムにもあるように、自分の行動を変えようとしても、簡単にはうまくいきません。行動変容を定着させるためには、継続が必須です。

VUCAの時代、自分の市場価値を高めることは、ビジネスパーソンにとって大きなテーマです。
当事者意識をもち、仕事の責任を引き受けて初めて、自分の価値を高め続けることができるのです。

組織の成果につながる
主体的に行動するようになれば、与えられた仕事を果たすだけではなく、組織としての目標達成も個人の責任の一部だと社員が受け止めるようになり、自分の業務を超えた部分にも責任を感じるようになります。

会社の利益、顧客からの苦情、情報共有、組織間コミュニケーションなど、会社全体の事柄に対して、社員一人ひとりが責任を感じるようになることで、目的とビジョンが共有され、組織が強くなり、成果を上げられるようになります。

当事者意識をもち、責任を引き受けられるようになるためには

当事者意識をもち、責任を引き受けられるようになるには、
まず、自分がその状態にあるか否かに気づかなくてはいけません。

こちらでご紹介したリフレクションを活用して、
個人で振り返り、現状に“気づくこと”ができる人もいますが、
今回は、コーチングによるフィードバックを活用し、
周囲の協力をもとに“気づかせる”方法をご紹介します。

仕事に当事者意識と責任をもつ、ということを理解できたからといって、
ずっとその状態が保てるわけではありません。
しかし、職場であれば先輩や上司がコーチとなり、
フィードバックすることで、気づかせることができます。

ただし、「言い訳してるぞ」などと釘をさしても押しつけのように感じ、
被害者意識が強くなってしまいます。

「私は正しくて、あなたは間違っている」というような態度が伝わらないように、
「この問題を一緒に解決しよう」といった姿勢で指導する意思を
明確に表す必要があります。

また、後輩や部下のためにコーチングしても、
立場の違いから「何か別の目的があるかも」など誤解が生じ、
信頼が得られない場合もあります。

そうならないためにも、次の5つのステップでコーチングを進めます。

ステップ①:傾聴
相手が言い訳に逃げて、被害者意識を持っている状態であることを
意識しながら話を聞きます。たとえば、相手の言葉を同情的に聞く、
などの手法があります。

ステップ②:受容
仮に相手が言い訳に逃げていたとしても、
簡単にはそこから脱することができないと自分に言い聞かせ、
相手の気持ちに理解を示します。
たとえば、乗り越えるべき問題を認め、どんな人にもつらいことが
起きるなどと同意を示します。

ステップ③:質問
少しずつ当事者意識と責任がもてるように、質問を繰り返します。

たとえば、「求める結果を出すために何ができますか」、
「この状況を変えるために何ができますか」などと質問します。

ステップ④:フィードバック
相手がこちらの話を聞く気になったところでフィードバックし、
相手の行動に対して改善点や評価を伝え、軌道修正を促します。

フィードバックの方法はこちらのコラムをぜひ参考にしてください。

ステップ⑤:コミットし、フォローする
改善に向けてアクションプランを考え、途中経過を報告してもらうようにします。
部下が遠慮しているようなら、必ず上司から声をかけ、
相手のことを気にかけながら、部下の話を聞いて理解に努めます。

このとき、改善がみられるたびに褒めると、効果があがりやすくなります。

昇格者研修事例紹介

新たに管理職になった方のなかで、
コーチングについて学んだことのある人はほとんどいません。

また、自分が管理職として、組織の模範になり、
当事者意識と責任をもつ必要もあります。

今回ご紹介する研修は、新任管理職の方を対象に、
管理職として求められる役割期待やリーダーシップを学び、
コーチングの習得を目指した研修プログラムです。

当事者意識をもち、仕事の責任を引き受けられる社員が増えることは、
企業にとっては大きな力になります。ぜひ参考にしてください。

テーマ:
昇格者研修(3日間)

ねらい:
・昇格して、役割の変化、周囲からの期待を認識する
・そのうえで、今後、どのように行動すべきかを理解し、
言動を変化・発展させる

学びのポイント:
・リーダーシップを発揮し、ビジョンを伝える大切さと手法を学ぶ
・チームをつくり、成果につなげるための組織設計手法を習得する
・周囲を支援するためのコーチングスキルや、
フィードバックスキルを身につける

内容:
①役割を理解する
上司からの手紙を通じて、会社や上司から期待されていることを知り、
自分の役割期待を認識します。
また、会社や上司だけではなく、他部署メンバーや後輩、
お客様からの期待に何ができるかを言語化します。

②役割を発揮するためのリーダーシップ
昇進後の役割を発揮できるリーダーシップについて学び、
良い組織、機能するチームをつくり十分な成果が上げられる考え方を身につけます。
そのうえで、実際に計画をつくり、自分のビジョンを明確に伝え、
メンバーを動かすことができるスキルを習得します。

③チームをつくる
メンターとコントローラーの違いなどを知り、
チームをつくるためにリーダーに求められることを学びます。
伝えたビジョンや水準を成果に繋げる組織設計の手法から、
現場でメンバーに与えている業務とメンバーの強み・課題を整理し、
実践イメージを持てるようにします。

④周囲を支援する
コーチングを身につけます。
信頼関係を築くための傾聴スキルや質問スキル、
フィードバックスキルを習得します。
さらに、思考を柔軟にするために、短所を長所にいいかえる
リフレーミングスキルやコミュニケーションスタイルに合わせた
対人対応スキルを習得します。

⑤アクションプランと宣言
アクションプランをつくり、宣言をしてもらうことで背中を押し、
現場に送り出します。


弊社では、個社ごとに完全オーダーメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが400名以上おり、
個社ごとに合った研修をプロデュースしております。
新任管理職向け研修のバリエーションも豊富です。
本記事を参考に、是非自社に合った新任管理職向け研修を実施してはいかがでしょうか。

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