多様な人材のいる組織が生産性を上げるために必須なロジカルコミュニケーション

ダイバーシティ&インクルージョン推進が求められるようになって久しく、
各企業では制度の整備や人材育成研修など様々な施策が実施されてきました。

ダイバーシティ2.0では「企業と多様性」がテーマでしたが、
最近では「社会と多様性」にまで視点を広げ、ダイバーシティ3.0としてさらに
活動が広がっており、今後もダイバーシティ&インクルージョンが企業にとって
重要なテーマとして推進されていくのは間違いありません。

一方で2020年に、政府が掲げた女性管理職比率30%の目標が達成されず、
2030年まで先送りにされるなど、最も取り組まれてきたジェンダーダイバーシティですら、
思ったように進んでいないのが実態です。

そんな中、
・男性育休の取得推進のための育児・介護休業法改正
・ダイバーシティ&インクルージョン促進のためのLGBT法案の検討
・70歳までの就業機会確保を目指した高齢者雇用安定法改正
・障害者雇用促進法にのっとった障がい者の法定雇用率適用
など、企業がダイバーシティ&インクルージョンをより一層進めるための外堀が
どんどん埋まってきています。

弊社は創業以来、特に力を入れて企業のダイバーシティ&インクルージョン推進を
お手伝いしてきました。

人事などのダイバーシティ&インクルージョン推進ご担当者とお話していただく
多くのご相談のひとつに、
「多様な人材を受け入れたときに、従来の組織メンバーとコンフリクトを起こし、
かえって生産性が下がってしまうのでは」という心配のお声があります。

その心配はごもっともで、多様な人材を受け入れることだけが目的となってしまい、
現場メンバー間の関係性がぎくしゃくしてしまうことも多いです。
そんな問題に対する解決策のひとつに、ロジカルコミュニケーションがあります。

人と人との関係悪化の原因の多くはコミュニケーションが原因です。
会社組織の中で仕事をする上で必要なコミュニケーションスキルを習得することで、
会話にルールが生まれ、ストレスのない会話ができるようになります。

今回はそんな、多様な人材がいる組織の生産性を上げるために必須の、
ロジカルコミュニケーションについてご紹介します。

なぜロジカルコミュニケーションが多様性にとって重要なのか

なぜ、多様な人材のいる組織にロジカルコミュニケーションが必要なのでしょうか。
ロジカルコミュニケーションの目的は、「相手を意図した通りに動かすこと」です。

コミュニケーションする相手は人ですので、科学的・論理的だけで判断して動く人は
ほとんどいません。
最近注目されている行動経済学にもある通り、みんな非論理的に考えますし、
感情的に判断します。

ビジネスの場面では、メンバーや上司・経営層との会話、会議、商談など、
さまざまな場面で人を動かすことができないと、成果を上げることができません。

アンコンシャス・バイアスを知ることや、1on1などを通じて他者への理解を深めることも、
多様な人材が活躍する組織づくりのために非常に重要なことですが、
ビジネスでは相手の立場を考慮しながら、自分が伝えたいことを分かりやすく伝え、
相手を動かす手法を習得しないと仕事になりません。

だからこそ、多様な人材のいる組織にいるメンバーは、ロジカルコミュニケーションを
身に付ける必要があるのです。

ロジカルな思考がロジカルコミュニケーションをつくる

相手に分かりやすく伝える(アウトプット)ためには、自分がインプットした情報を
ロジカルに整理すること(ロジカルシンキング)ができることが前提です。

ロジカルシンキングとは、ある枠組みに従い、情報を整理したり、分析したりしながら、
筋道を立てて結論を導き出そうとする思考法のことを指します。

多くの企業では入社1年~3年の間に、基礎スキルとして学ぶことが多いですが、
ロジカルシンキングにどのような印象をお持ちでしょうか。

・小難しくて自分にはあまり関係なさそう
・学んだけど実務に使えるイメージが持てない
という声を聞くことも多く、活用されていないことも多いのではないでしょうか。

苦手なイメージを持たれることが多いロジカルシンキングですが、

①目的を明確にする
②整理する
③つながりをつける

の3つの要点を意識することができるようになるだけで、グッと
身近なスキルに変わります。

演繹法や帰納法といった、ロジカルシンキングをするための技法や、
ロジックツリーやピラミッドストラクチャーのようなフレームワークを習得することで、
さらにロジカルシンキングを使いこなすことができるようになります。

すべてご紹介するとキリがありませんので、ここでは演繹法の具体例をご紹介します。
演繹法とは、相手の希望につながる理屈を使用し、自分の主張を通すための手法です。

演繹法を使って説得力を増すためには、まず作りたい状況(目的)を決めます。

例えば、お花を販売する企業で仕入れを担当するAさんがいたとします。
Aさんは世界的に有名なオランダの花卉市場に行って、新たに珍しいお花を仕入れ、
日本の消費者に紹介する状況を作りたいと考えています。
会社が望むのは、他社と差別化し、消費者から選ばれるお店を作ることだと考えられます。

そこでAさんは演繹法を使い、次のように上司の説得を試みます。

「今やお花屋は同じような店がどこにでもあり、消費者から選ばれるお店作りが
難しくなっています。
そんな中でも消費者から選ばれるお店を作り、勝ち残らなくてはいけません!」
「今はSNSが流行っており、消費者の投稿によって選ばれるお店が増えています。」
「わが社もSNSを利用することで、勝ち残ることができるようになる可能性が
高いです。」
「そこで日本にはまだ普及していない珍しいお花を輸入し、店舗で販売することが
有効だと考えます。」
「そのためには世界で最も多くのお花が集まるオランダの花卉市場に
買い付けにいくべきです!」

いかがでしょうか。
相手の希望と自分が作りたい状況を作るために、理屈をつなげて紹介することで、
うまく進められる可能性が高くなると思いませんか。

現実ではもっとたくさんの理屈を繋げる必要がありますが、論理的に考えることで、
相手を説得して動かすことができる可能性が高まります。

ロジカルコミュニケーション~相手を動かす伝え方とは~

ロジカルシンキングを使い、情報を正しくまとめられたとしても、相手に正論を
ぶつけるだけでは動いてもらうことはできません。
ロジカルコミュニケーションの目的は、相手を説き伏せることではなく、
相手を動かすことです。

そのためには、以下の3つのポイントを押さえる必要があります。

①話の構成を意識する
②あいまいな表現を排除する
③相手に話を受け入れてもらいやすくする

①話の構成を意識する
例えば上司から、
「新規開発した商材を活用して、新たなマーケットに新規参入すべきだと思うか?」
のような質問をされたときに、どのように答えますか。

「現在の市場環境は非常に不安定であり、市場動向、他社の販売状況などを
十分に調べ、事業の収益性を精査し、慎重に検討する余地があると思われます。」
のように答えてはいませんか。

これでは質問に対する回答になっておらず、つじつまが合わない回答になっています。
また、上司のいう「新規参入」の目的が明確になってもおらず、
答えるための判断基準もない状態です。

そこで重要なのが話の構成です。
最も有名なのがPREP法です。
PREP法では、「Point(結論)」、「Reason(理由)」、「Example(実例・具体例)」、
「Point(結論)」の順で相手に伝えます。

先ほどの例でいうと、次のような話の構成になります。
「結論から申し上げますと、売上拡大のために新規参入すべきです!」
「理由は、他の類似商材と差別化ができており、販売が見込めるからです。」
「詳しく説明いたしますと、当社の新規商材は大企業が求める
〇〇という要件を満たせるよう開発されています。

競合他社の類似商材は中小企業に支持され広がっていますが、
この要件を満たせず大企業には販売が進んでいません。」
「この商材の市場規模は直近5年間で200%になっており、2025年には
〇〇円まで成長する見込みです。」
「まとめると、新規商材を活用して新たなマーケットに新規参入すべきです!
当社の主要なクライアントである〇〇社のような大企業に紹介していきましょう!」

いかがでしょうか。
「結論から申しますと」「お伝えしたいことは」のような枕詞を使い、
まず結論を伝えることで、相手に話の目的を分かってもらうことができます。
その後
「理由としましては〇〇です。」
「詳しく説明いたしますと〇〇です。」
と続いていき、
最後に主張を印象付けるために、「最後にまとめると」などの枕詞を使い、
クロージングのひと言を加えます。
ピークエンドの法則というものがあり、最後の印象が全体の印象を
つくってしまう可能性が高いので、クロージングのひと言は非常に重要です。

大切なことは、相手が何をすればいいのかわかるような表現を使うことです。
たとえば、「弊社の強みを紹介したい」という言葉だと、紹介する側が主語ですが、
「弊社の強みをご理解いただきたい」という言葉に変えると、相手が
どうしたらいいのかが分かりやすくなります。

②あいまいな表現を排除する
言葉だけで伝えるときに最も気を付けないといけないことは、
相手に誤解・勘違い・思い込みを生じさせ、トラブルを生じさせないようにすることです。

たとえば、
・あれ、それ、これ→固有名詞など具体的に示す
・すごい、めちゃくちゃ→パーセントやシェア率など数値化して示す
・すごく、しっかりと→比較対象や例えを示す
のように、具体的に表現する工夫が必要です。

また、語尾にも気を付けなくてはいけません。
「だと思います」のような語尾はあいまいな解釈を生みがちですので、
「です」「ます」のような言葉ではっきりとセリフを終わらせます。

③相手に話を受け入れてもらいやすくする
相手に動いてもらうためには、分かりやすく伝えるだけでは足りません。
「共感」してもらって初めて相手に動いてもらえます。
ロジカルコミュニケーションには、感情への理解と働きかけも必要です。

顔を上げて相手の目を見たり、自分の表情を上手に変化させることで、
相手は聞く姿勢になってくれますし、ここぞという主張の前には「間」を入れることで
より注目してもらえるようになります。

共感の関係を作るためには熱意が伝わるようにすることが重要です。
非言語の表現もうまく使い、論理と感情で相手を動かせるようにならなくてはいけません。

まとめ

いかがでしたか。
長くなりましたが、今回のコラムではロジカルコミュニケーションについて
ご紹介しました。

ダイバーシティ&インクルージョン推進には、弊社が得意とする
マインドセットも重要ですが、それだけだと生産性が上がる組織にはなれない可能性が
あります。
コミュニケーションに必要なビジネススキルを使いこなせるようになることで、
多様な人材が活躍でき、生産性の高い組織に近づくと考えています。
ダイバーシティ&インクルージョン推進を考える際には、
是非ビジネススキル研修についても検討されることをおすすめします。

ロジカルコミュニケーション研修事例紹介
ここからは、弊社で実際に実施したロジカルコミュニケーション研修の事例を
ご紹介します。インターバル課題を挟み、2日程に分けて実施した研修事例です。

【研修事例】
テーマ:
ロジカルシンキング&ロジカルコミュニケーション

ねらい:
・相手の立場を考慮しながら、自分が伝えたいことを分かりやすく伝える手法を身につける

内容:
① オリエンテーション
ロジカルコミュニケーションは学習して終わりなものではなく、
実際に使えなくては意味がないスキルであることを理解していただき、
研修後にどこまで使える状態になるかを、研修の冒頭に受講者と握ります。

②ロジカルコミュニケーションの概要
ロジカルコミュニケーションの必要性とその効果を、イメージしやすいように説明し、
受講者のレディネスを醸成します。
そのうえで、ロジカルシンキングとロジカルコミュニケーションについての
基本知識をインプットし、伝える技術の4大ポイント
・結論から伝える
・短く伝える
・整理して伝える
・つなげて伝える
を重点的に学ぶことで、実際に使うイメージを持てるようにします。

② ロジカルコミュニケーション~目的を伝える、整理して伝える、納得感をつくる~
ここからはロジカルコミュニケーションを使いこなすためのインプットと演習です。

まずは、目的の重要性を知るとともに、自分自身の目的を捉える力のレベル感に
気づいてもらいます。
そして、業務指示・説明・提案・メールなどのビジネスシーン別に、
何を目的にするのかを確認していき、現場で使えるようにしていきます。

次に、伝える情報を整理するための具体的な考え方を学び、ワークを通じて
・情報の分け方
・ラベリング、項目化
・伝えるための分け方、順序
についてのノウハウを習得します。
小分けにしたほうが食べやすいように、情報も小分けにしたほうが分かりやすいものです。

最後に、相手に動いてもらうために必要な話の納得感をつくる方法を理解し、
具体的な活用シーンを紹介することで、スキルを使ってみようというマインドを
醸成します。
その後、実際に使ってみるワークを実施し、活用できるようにしていきます。

④インターバル課題
インターバル期間に取り組む各自の課題を設定し、実際に取り組んでもらいます。

⑤ロジカルコミュニケーション~考えを伝える、見せて伝える~
インターバル期間の取り組みと成果を報告し、改善点を確認します。
その上で、ロジカルコミュニケーションの応用として、自分の頭の中の情報を
相手に分かりやすく伝え、行動してもらうための方法を学びます。
このパートで、相手視点で表現し、感情で納得してもらう手法を習得できます。

相手に分かりやすく伝えるには絵や図、表を活用することも有効です。
図示することの効果、文字の使い方を学び、資料作りやスライドづくりに活かす
ノウハウも学びます。

⑥演習
・冗長な文章を整理し、わかりやすく伝わる文書に作り直す演習
・簡単な業務説明をしてもらい、確実に相手に伝わり期待通りの仕事をしてもらう演習
・一人3分の提案プレゼンを実施し、相手の賛同を得る演習
を通じて、現場でロジカルコミュニケーションを実践できるようにします。

弊社では、個社ごとに完全オーダーメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが400名以上おり、
個社ごとに合った研修をプロデュースしております。
ロジカルコミュニケーション研修のバリエーションも豊富です。
本記事を参考に、是非自社の目的や課題に合った研修を実施してみてはいかがでしょうか。

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