男性育休の現状とは~制度改革の流れと育休取得を促す職場づくりのポイント~

厚生労働省の調査によると、2019年度の民間企業における男性の育児休暇取得率は
わずか7.48%でした。1ヶ月以上の取得者と限定すると、実質約1%と言われています。
一方で、日本の育児休暇制度は国連(ユニセフ)から世界一と評価されており、
制度と現実のギャップが大きくある状態です。

私には現在小学校3年生の長女と年長の長男がいます。
出産の際には年次有給休暇を取得し1週間程度休めましたが、
育児休暇取得はできませんでしたし、時短勤務を選ぶこともできませんでした。

制度はあるのに活用されない現状を変えようと、現在国が率先して動いており、
2022年4月から育児休暇制度が変わることがほぼ決まっています。

それにともない、企業側には準備が求められています。

本日は、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みの中でも、
現在最も話題となっている男性の育児休暇制度について、
人事担当者が押さえておくべき基本情報から紹介します。

男性育休制度改正のポイントとは

先ほど紹介したとおり、2019年度の民間企業での男性の育児休暇取得率は
7.48%と低い水準で、取得期間もほぼ全員が1ヶ月未満です。

育児休暇制度とは、原則子どもが1歳(最長2歳)まで、育児のために
仕事を休むことができる制度です。
よく混同される産休制度は、産前と産後で休みを取ることができる休暇制度で、
出産する、もしくはした女性が対象です。

男性育休だけに認められていることとして、男女両方で育休を取得した場合、
原則1歳までの育休を、1歳2ヶ月まで伸ばせることがあります。
パパ・ママ育休プラスと呼ばれている制度です。
もう1つ、産後8週間以内に男性が育休を取得した場合、申し出れば
もう一度育休が取れる、パパ休暇制度もあります。

先ほどユニセフの評価も紹介しましたが、給付金が出る育児休暇の期間が
長いことは日本の制度の大きな特徴です。

制度はあるけど使われない現状を変えようと、
今国会で「育児休暇、介護休業等育児又は家族介護を行う
労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案」が審議されており、
実際に改正される見通しです。

改正のポイントは以下の3点です。

①企業に対して、妊娠や出産を申し出た従業員(男女問わず)に、
制度の周知や取得の意向確認を義務づける。
②大企業には、男性の育児休暇取得率を毎年公表するよう義務づける。
③男性が柔軟に育休を取得できるよう、産後8週間を対象とした「出生時育休」を
新設し、従来の制度と併用することで、子どもが1歳までに4回まで分割して
育休取得を取得できるようにする。

①は、男性に対して育休の話をするハードルを下げるためのものです。
男性が育休を取得できない主な理由として、職場の雰囲気があります。
2022年4月からは、男性に対しても女性に対しても、
企業は「育休は取る?取らない?」と聞くことが義務づけられる予定です。

③は、育児休暇を取りやすくする目的で、「出生時育休」は
あらかじめ予定されていれば就労することも可能になる予定です。
人手が足りなくて育休が取れない、という声に対する対策となります。

なぜ男性育休を推進するのか

これから労働人口が減っていくことは確実ですので、多様な方の活躍が求められています。
女性活躍もその1つです。
以前のコラムでも紹介しましたが、日本の女性活躍は世界的にみても遅れており、
多様な働き方が求められています。
男性は仕事、女性は仕事+育児+家事では女性活躍は進みません。
男性の平均給与も下がっていますので、お互いに働ける環境をつくることは、
不安定な家庭経済へのリスクヘッジにもなりますよね。

男性や会社組織にとってもメリットがあります。
復職後も育児をするようになるため、時間意識が高まり、
生産性が向上することが期待されています。
組織にとっては属人的になっている仕事を見直す良い機会にもなります。

また、ライフとワークだけでなく、ソーシャルのつながりができやすくなるため、
仕事人から社会人へと、視野が広がります。
結果、自身の多様なライフキャリアへとつながりますし、
組織にも多様な価値観が内包されるようになります。

マネジメントをする立場になった場合、育児での経験は非常に有効な示唆を
与えると思いますし、一人一人考えの違う部下や同僚、上司との接し方も変わるでしょう。

男性育休に関するよくある質問・課題

【今よりも収入が大きく減ってしまうんじゃないの?】
生活が苦しくなりませんか、というのは良く出る質問です。
また、企業の担当者からは、売上・利益が減ることになりませんか、
という質問が良く出ます。

前者に関しては、育児給付金と社会保険料の免除を合わせることで、
なんと8割程度が保証されています。
後者に関しても、助成金の活用が可能な場合もありますし、
むしろ育児休暇を取得してもらったほうが営業利益に貢献できることもあります。

【育児で男性ができることって少ないんじゃないの?】
そんなことはありません。
家事全般、授乳以外の育児全般、配偶者との感情の共有やそれぞれの時間の確保、
地域との関わり合いなど、できることは本当にたくさんあります。

【男性育休を推進している企業の取り組みってどんなことがあるの?】
厚生労働省が主催している、「イクメン企業アワード」がありますので、
そこから取り組みをいくつかご紹介します。

・収入面での不安を取り除くため、給付金シミュレーションツールを作成し、
男性の育休取得を後押しした。
・育休期間の最初の1ヶ月を有給とし、分割での取得も認めることで、
男性の育休取得を奨励した。
・経営者からのメッセージを発信したり、セミナーや研修を実施するなど、
男性育休取得を推奨する風土づくりをしている。

※詳しく知りたい方は、弊社までお気軽にお問い合わせください。

弊社では、セミナーや研修を通じて、男性育休に対する理解や
組織風土改革へのアプローチ支援をすることが増えております。

子育てを経験している夫婦を対象とするだけではなく、
将来育児を経験するであろう方々も対象としたセミナーや研修は多く相談を
いただきますし、現在上司の方やこれから上司になってほしい方を対象とした、
セミナーやマネジメント研修も人気です。

弊社社長は保育士資格を持っておりますので、託児が付随したセミナーを
実施したこともあります。

今回はそんな事例のなかから、管理職の方々に対し、
法改正に関する基礎知識の習得と、男性育休を取得させるメリットの理解
をさせることで、男性育休への抵抗感をやわらげることをめざして
実施したセミナー事例をご紹介します。

テーマ
『男性育休取得促進』セミナー

ねらい
・男性の育休取得を推進する背景を学ぶ
・制度の基本や使わせ方、メリットを知り、
 男性の育休取得を前向きにとらえられるようになる
・育休取得前におこなうべき、上司のマネジメントポイントを理解する

内容
①育休の今を知る
男性育休の取得率や取得期間などについて、厚生労働省のデータをもとに学びます。
実際に“育休難民”がいることを理解することで、男性の育休取得を
推進する背景を知ることができます。

また、経営者や管理職、育休を取得する社員や女性社員、ママなど、
さまざまな立場の考え方を知り、男性育休を取り巻く環境を深く理解します。

②ルールを知る
改正育児・介護休業法のポイントを学びます。
世界の育休制度との比較を通じて、日本の育休制度がどれほど優れているかを
知ることもできます。

③メリットを知る
・社員のメリット:人生100年時代のキャリア戦略、well-being、手取り収入への影響
・会社のメリット:非財務的企業価値、財務的企業価値、採用インパクト
・社会のメリット:SDGs促進
の3つの観点から、男性育休取得を推進するメリットを理解します。

④ メソッドを知る
育休を取得すること、取得させることの苦労について、
トレーナー自身の体験談や他社の取り組み事例もまじえながら、意見交換します。
男性育休に対してポジティブに考えてもらうようにするためにどんなことが必要か、
実感することができます。

弊社はダイバーシティ&インクルージョン推進を通じて、
多様なビジネスパーソンが元気に働ける社会づくりを目指したいと考えております。

弊社では、個社ごとに完全オーダーメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが400名以上おり、
男性育休に関するセミナーや研修のバリエーションも豊富です。

自社に合ったダイバーシティ&インクルージョン研修を実施していただき、
一緒に多様な社会づくりをしていきませんか。

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