ダイバーシティ&インクルージョンが必要とされるのはなぜか

ダイバーシティ&インクルージョンが必要とされるのはなぜか

株式会社HRビジョンが発行している「日本の人事部 人事白書2020」(※1)によると、ダイバーシティの必要性に関して、従業員数5,001人以上の企業で、98.0%の企業が「必要」と答えています。
1,001人~5,000人の規模の企業でも97.2%、1~100人の規模の企業では下がりますが、それでも63.5%の企業が、ダイバーシティが「必要」と答えています。

何故大多数の企業が、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する必要があると思っているのでしょうか。

企業がダイバーシティに求めるものは何か

同じく「日本の人事部 人事白書2020」のデータですが、企業がダイバーシティを必要とする理由の第1位は「人材の確保」でした。
次いで第2位が「イノベーションの創出」、第3位が「生産性の向上」、第4位が「業績の向上」と続きます。

人材の確保

多くの企業の採用サイトで、ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みが紹介されています。
ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みが、人材採用にとってプラスの影響があることは間違いなさそうです。
また、組織構成に多様性をもたせると、採用条件が広がり、これまで条件が合わずに不採用としていた人材にも門戸が開かれます。
例えば育児中の女性、シニア、障がい者、外国人です。
育児をしていた女性が、独自の視点からサービスを改善したり、生み出したという例はよく聞きます。
シニア、障がい者、外国人の方でも同様の話を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
優秀な人材というのは、幅広い属性で多数存在しているのです。

イノベーションの創出

ミュンヘン工科大学とボストンコンサルティンググループの2016年の調査(※2)では、ダイバーシティ&インクルージョンとイノベーションの創出には、正の相関関係があることが認められています。
多様性が進めば進むほど、新商品・サービスによる収入が多くなっていたのです。
また、同じ調査で女性管理職比率が20%を超えると、イノベーションが起こりやすくなるというデータも発表されています。
特に欧米では、ダイバーシティ&インクルージョンがイノベーション創出に欠かせない重要な経営戦略として位置づけられており、近年、日本でも同様の動きが活発になってきています。

生産性の向上、業績の向上

ダイバーシティ&インクルージョンが推進されると、企業業績にはどのような影響があるのでしょうか。
ここでも興味深いデータが出ています。2020年3月19日に発表されたマッキンゼーのレポート(※3)では、経営層でのダイバーシティ&インクルージョンの推進と企業業績について書かれています。
ジェンダー(性別)ダイバーシティ&インクルージョンを推進している企業上位25%と下位25%の収益を比較した時に、前者のほうが25%も高かったそうです。
さらに、多民族でのダイバーシティ&インクルージョンを推進している企業での収益比較では、推進している企業の方が、なんと36%も高いという驚きの結果になったそうです。

アメリカのCloverpopという会社のホワイトペーパー(※4)では、年代・性別・多国籍でダイバーシティ&インクルージョンが進めば進むほど、会議の場で、結果として良い意思決定ができると報告されています。

これらはすべてダイバーシティ&インクルージョンの推進は、生産性の向上や業績の向上につながる可能性があることを示唆しています。

日本におけるダイバーシティ&インクルージョン推進の現状

日本では、ダイバーシティ&インクルージョンの浸透が遅れているとよく言われています。
例えば、世界経済フォーラムが毎年年末に発表している「世界ジェンダー・ギャップ報告書」では、日本は常に先進国の中で最低ランクに位置付けられています。
2020年版では153か国中121位、2019年版でも149か国中110位という、下から数えた方が早い位置にいます。

2018年の総務省の労働力調査(※5)によると、女性の就業率と、潜在的労働力率の差を考えた時に、女性の就職希望者は237万人もいるそうです。
また、日本の女性管理職比率も世界に比べて低い水準であることも良く知られています。

女性活躍というのは、ダイバーシティ&インクルージョンをテーマにしたときに、最もよく聞く言葉です。
その女性活躍ですら、世界と比較するとかなり遅れているというのが日本の現状です。

企業がダイバーシティ&インクルージョンを推進する上での課題

ダイバーシティ&インクルージョンを推進したいけど、思うように進まない・・・、とお悩みの企業は多いかと思います。
中でもよく聞く課題は、

・社内の理解不足
・経営層の本気が感じられない
・現場が協力してくれない
・変化を求める社風ではない

などが挙げられます。

これは、組織が成長マインドセットを持てず、硬直マインドセットになってしまっていることが原因の1つだと考えます。

ダイバーシティ&インクルージョンは、誰もが働きやすい風土への変革です。
その風土を作り出すのは、その企業で働いているメンバー全員です。
ですから、ダイバーシティ&インクルージョン推進を成功させる、つまり風土改革を成功させるためには、一人一人の主体性や当事者意識が重要です。

マインドセット研修やダイバーシティ&インクルージョン研修は、弊社の最も得意とする研修テーマです。
弊社では、個社ごとに完全オーダーメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが300名以上おり、ダイバーシティ&インクルージョン研修のバリエーションも豊富です。
自社に合ったダイバーシティ&インクルージョン研修を実施していただき、風土を変革する第一歩を踏み出してはいかがでしょうか。

【参考文献・WEBサイト】
※1「日本の人事部 人事白書2020」株式会社HRビジョン
※2「The Mix That Matters Innovation Through Diversity」boston consulting group
※3「Diversity wins: How inclusion matters 」McKinsey & Company
※4「Inclusion + Diversity = Better Decision Making At Work」Cloverpop
※5「労働力調査」「労働力調査(詳細集計)」総務省

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