「マネジメントが必要な本当の理由」

「マネジメント」とは何か?

「マネジメント」とは、何でしょうか?改めて考えてみると、「?」な部分もありますよね。世の中には、マネジメントの必要性を説く書籍や研修がたくさんあります。
それだけ組織において、マネジメントは重要なものです。

また、マネジメントとは別に、リーダーシップ研修もあります。
「マネジメント」と「リーダーシップ」の違いは何なのでしょうか?
「マネジメント」とは何なのか、「リーダーシップ」と比較しながら考えてみます。

マネジメント」を辞書で調べると、
① 管理。処理。経営。
② 経営者。経営陣。「トップ‐マネジメント」
とあります。

リーダーシップ」は、
① 指導者としての地位または任務。指導権。「リーダーシップをとる」
② 指導者としての資質・能力・力量。統率力。「リーダーシップに欠ける」
です。

似ているようで、ちょっと異なるようです。
マネジメントとは、管理すること、処理することであり、経営に近い立場であり、
経営者という意味でも使われることがあります。
「トップマネジメント」とは、経営者、つまり社長です。

かたやリーダーシップは、指導者としての地位、または任務、その資質、能力、
力量となっています。

経営者も指導者もほとんど同じと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、経営者であっても、リーダーシップがない、
リーダーシップは必要とされないということがあります。

その逆に、リーダーシップがあって、指導者としては活躍できても、
マネジメントはできない、社長の器ではないということもあります。

さらに、探求していくと、マネジメントの父と言われるピーター・F・ドラッカーは、
このように説明しています。

マネジメントとは、ものごとを正しくおこなう、どのようにおこなうかが重要。
リーダーシップは、正しいことをおこなう、何をおこなうかが重要。
と言っています。

マネジメントは、定められた目標を達成するために、どのように行動するか、
どうすればよいのかを設定します。
なんとかして目標を達成することを求められるのが、「マネジメント」なのです。
その対象は、チーム、組織であり、そのメンバーとなります。

リーダーシップは、何をやるべきなのかを考え、それを実践していくことです。
組織に必要なことを見極め、率先垂範して行動することが求められます。
マネジメントは、ある役割の人(組織においては、課長や部長という肩書を持つ人)が
担いますが、リーダーシップに肩書は必要ありません。

新入社員でも、誰でも、組織メンバーであれば、誰でもリーダーシップの担い手となります。

新入社員でも、組織の目標を達成するために必要だと思うことがあれば、
責任をもって率先して行動することを求められます。

誰からか指示命令されて行なうのではなく、自分で必要だと考えて
会議の議事録を作ったり、積極的に質問したりすること、すべてリーダーシップです。

つまり、組織で働く上では、誰にでも「リーダーシップ」は求められるのです。

組織の管理職(部長、課長)には、「マネジメント」と「リーダーシップ」の
どちらが必要なのでしょうか?

自ら考え、動き、なすべき行動を起こすこと、つまり、「リーダーシップ」も必要でしょう。

さらには、組織の目標を達成するために行動すること、具体的には、組織をまとめ、
一体感を創り出し、メンバーひとりひとりのパフォーマンスを向上させることも
必要でしょう。

つまりは、管理職には、「マネジメント」と「リーダーシップ」の両方を
発揮することが必要なのです。

「リーダーシップ」は、組織の誰でも発揮することができます。
メンバーの誰かが発揮してくれれば事足りる可能性もありますが、
「マネジメント」は任命された管理職でなければ発揮できません。

管理職にとって、「マネジメント」は必須事項なのです。
「マネジメント」は役割なので、マネジャー≒管理職が担う必要があります。

マネジメントとリーダーシップ、マネジャーとリーダーという言葉は、
人材育成業界においても区別されず、混同して使われることがしばしばあります。

しかしながら、人事、人材育成に携わるのであれば、「マネジメント」が
求められているのか、「リーダーシップ」が必要とされているのか、
その言葉の指し示す意味を理解して活用すべきではないしょうか。

マネジメントスタイルの変遷

では、「マネジメント」についてもう少し考えてみましょう。
マネジメントのかたち、マネジメントスタイルは、その社会状況や組織の状況に応じて、
変化してきました。

マネジメントスタイルの変遷は、大きく分けて、トップダウン型から、管理型、
カリスマ型、ボトムアップ型へと移り変わってきました。

ここ数年で注目されているマネジメントスタイルが、ボトムアップ型です。
オーセンティックリーダーシップと言われるリーダーも
このマネジメントスタイルだといえます。

マネジャー自身が強いリーダーシップを発揮するのではなく、
リーダーシップは現場メンバーが発揮します。

ボトムアップ型のマネジャーは、メンバーがパフォーマンスを発揮できるように、
チームが相乗効果を発揮し目標を達成することができるように、
支援するマネジメントスタイルです。

マネジメントに必要な3つの要素

では、ボトムアップ型のマネジメントスタイルには、何が必要なのでしょうか?
メンバーのパフォーマンスを向上させるためには、マネジャーには
どんな要素が必要となるのでしょうか?

「マネジメント」に必要な要素は、自己理解、チームビルディング、コーチングの3つです。

ひとつずつ、ご説明いたします。

まず、「自己理解」です。
マネジャーにとって、まず最も必要な要素は、「自己理解」だと言えます。
スタンフォード大学のビジネススクールの評議会メンバーが
「リーダーに必要な能力とは?」と問われた際に何と答えたかと思いますか?
評議会メンバーの多くが同意した答え、それが「自己理解力」だったそうです。

「自己理解なんて、自分のことでしょ?自分のことは自分が一番わかっているよ」と
思う方もいらっしゃるかもしれません。
果たして、そうでしょうか?自分のことを理解できているでしょうか?

自分の能力、強み・弱み、行動特性、価値観、人間性など、
どこまで理解できているのでしょうか?自分自身の行動や言動を、
自分自身がリアルタイムで客観視することはできません。

幽体離脱でもしない限りは無理ですね。
自分自身のことを理解することは案外難しいことなのです。

自分のことを理解することで、適切なマネジメント行動をとることができます。
自分のことを理解していないと、自分がやりがちな行動を過剰使用します。
例えば、マイクロマネジメントで事細かく指示したり、常に管理下に
おこうとしたりするかもしれません。

それでは、メンバーの本来のパフォーマンスを妨げてしまう可能性があります。

また、自己理解すると、他者も理解できるようになります。
他者がどのような価値観、行動特性をもっているかを客観的に観察し
把握できるようになります。

自己理解することで、多様性を認識し、他者を理解することができるのです。
その結果、他者と適切なコミュニケーションをとることができるようになるのです。

次に、マネジャーに必要な要素が「チームビルディング」です。
チームが相乗効果を発揮できるように働きかけることは、マネジャーの重要な役割です。
チームの使命、目標、ありたい姿、チームの価値観、
行動指針(ミッション・ビジョン・バリュー)を明確にします。

その結果、チームメンバーは、目標を共有し同じ方向を向くことができます。
価値観を共有し、チームとしての規律を生むことができます。

チームのミッション・ビジョン・バリューを定め、共有するとともに、
チーム内の関係性を向上させる必要があります。

マサチューセッツ工科大学ダニエル・キム教授による「組織の成功循環モデル」を
ご存知の方も多いかと思います。

チームが結果を出すためには、チームの「関係の質」を向上させることが
重要だと提唱しています。

関係の質を向上させることで、メンバーの「思考の質」が向上します。
思考の質、つまり戦略の質が変われば、「行動の質」が向上します。
行動が変われば、「結果の質」も変わるのです。

「結果の質」を向上させるためのカギが、「関係の質」なのです。
マネジャーにとって、「関係の質」を向上させること、
つまり「チームビルディング」は重要な役割のひとつなのです。

最後は、「コーチング」です。
メンバーひとりひとりとのコミュニケーションにおいて、マネジャーに
必要とされるスキルです。
メンバーの本当の想いや課題を引き出すことで、真の課題を解決し、
パフォーマンスの向上を図ることができます。

メンバーとのコミュニケーションにおいて、メンバーの話をしっかりと
聴くスキル=コーチングが必要なのです。

マネジャーには、「自己理解」「チームビルディング」「コーチング」の3つの要素は
欠かせません。
この3つを兼ね備えることで、メンバーのパフォーマンスを向上させ、
組織の目標を達成することができるのです。

「マネジメント」とは、組織の目標を達成するために、どうにかこうにか
なんとかすることです。

そのために、自分のことを理解し、チームをまとめ、メンバーひとりひとりの話を
聴き導くことが、マネジャーの役割なのです。

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