女性活躍を阻むオールド・ボーイズ・ネットワークとは ~ シニア男性のジェンダー意識への対策 ~

皆さんは、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」という言葉をご存知ですか?
女性活躍を阻む要因のひとつとして、今、注目を集めています。

世界経済フォーラム(WEF)が発表した、2022年の日本のジェンダー・ギャップ指数は、146か国中116位と、前年までと同様、低迷しました。

特に長年改善の必要性が指摘されている、政治や経済分野での指数が上昇せず、根強い問題が残っていることがうかがえます。

その問題のひとつが「オールド・ボーイズ・ネットワーク」です。

そこで今回のコラムでは、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」を形成するシニア男性のジェンダー意識を紐解き、その対策をご紹介します。

・オールド・ボーイズ・ネットワークとは何か
・男性のジェンダー意識の変遷
・男性の持つ、子育てや介護におけるジェンダー意識
・シニア男性に向けた研修事例
がわかります。

ぜひご参考にしてください。

オールド・ボーイズ・ネットワークとは

オールド・ボーイズ・ネットワークとは、マジョリティである男性が築いてきた
暗黙のルールや、いわゆる“お約束”に満ちた仕事の進め方や人間関係のことです。

たとえば日本企業では、社内外にある男性同士のコネや人脈が重要視され、
飲み会やゴルフの場など、非公式の場で出た話で仕事が進むことがあります。

このような人間関係は明文化されることはなく、男性メンバー間で共有、伝承されているのが普通です。

非公式でなくても、たとえば公式の会議やチームでの仕事のときの発言の仕方などに、
“こだわり”を持っている男性上司が、あなたの周りにもいるのではないでしょうか。

こうした、男性が作る暗黙のルールをもつネットワークには、社内派閥や飲み仲間、ランチ仲間、ゴルフ仲間、タバコ部屋での仲間、業界勉強会でのつながり、役職者や経営者同士の親睦団体などさまざまあります。

シニア男性が中心となり作る、これらのネットワークの企業への影響力は無視できません。なぜなら、オールド・ボーイズ・ネットワークを形成するシニア社員の多くが、成功体験をもっているからです。そして、その成功体験は尊重されるべきものでもあります。

一方で、このオールド・ボーイズ・ネットワークは画一的な意見に支配されがちです。
参加しているメンバーは、言葉を選ばずにいうと、金太郎飴のように似たタイプが集まりやすいものです。

ですがそこに女性が参画することができれば、異質で多様な意見が加わり、新たなアイデアが生まれることが期待できます。当然、女性活躍もこれまで以上に進みます。

これまで女性活躍といえば、女性の意識を変えようとしたり、女性をサポートしようとする施策が多く展開されてきました。

ですが、オールド・ボーイズ・ネットワークを築いてきたシニア男性のジェンダー意識を
変えることでも、女性活躍を推進することができるのです。

では、日本のシニア男性は、どのようなジェンダー意識を持っているのでしょうか。

男性のジェンダー意識の変遷

シニア男性のジェンダー意識は、男尊女卑的で画一的だと思われがちですが、
実はそうではなく、多様です。
多くのシニア男性が、自分のもつジェンダー意識が正解か分からず悩んでいるのが実情と
いえます。

では、シニア男性のジェンダー意識は、なぜ多様になったのでしょうか。

■お金を稼ぐのは男性、という当たり前の形成
ジェンダー・ギャップ指数からもわかるとおり、日本では男性は仕事中心、女性は家庭中心という、ジェンダー役割観が根強く残っています。つまり、「家族をつくったときに、お金を稼いでくるのは男性」という意識が強いということです。

多くのシニア男性が就職したころは、まだバブル崩壊前で、そのときの完全失業率は2%台前半と非常に低い数字でした。今後シニア世代となる男性が就職した、バブル崩壊後には、2001年で完全失業率が5%台となりましたが、それでも諸外国からみれば顕著に高い失業率とはいえず、比較的安定して働くことが可能な環境だったといえます。

そして、新卒一括採用や終身雇用など、日本企業はいまだ長期で働くことが前提の雇用システムです。ホワイトカラーであってもブルーカラーであっても、年功序列で昇給・昇格を目指すことが一般的といえます。

自然、強固な男性同士のネットワークが形成されやすくなります。
そして、特にバブル崩壊前は日本社会は大きく成長しており、組織を引っ張ってきた男性の成功体験から形成される“当たり前”=“稼ぐのは男性”の意識が共有されていきます。

■キャリア意識とジェンダー意識の多様化
バブル崩壊後でも、比較的安定して働くことが可能だったといえますが、
一方で派遣のような非正規雇用が広がり、男性のキャリアが不安定化します。

もともと日本での非正規雇用は、家計責任がないと考えられていた女性向けの雇用という認識がありました。そこに男性が参入することは、現在のシニア社員にとって、“男性なのに稼ぐことができない”=“よくないこと”に感じた人もいたと考えられます。

また、1999年には男女共同参画社会基本法が成立し、国際化や少子高齢化など社会的な
背景も後押しとなり、女性が正社員として働くことが当たり前となっていきます。

男女平等の考え方は力強く広がり、男性のジェンダー意識に影響を与えました。

結果、男性のキャリア意識もジェンダー意識も画一的ではなくなりました。
これは男性全体でみてもそうですし、シニア男性だけで考えても、これまで以上に人によって思考が違うようになりました。

キャリア意識でいえば、稼ぐのは男性という意識を持ちつつも、出世を目指す人もいれば、そうではない人もいますし、稼ぐのは男性という意識を持っていない人もいます。

ジェンダー意識でいえば、男女平等の考え方は一様に持ちつつも、女性にどんな期待をするかは、キャリア意識とも紐づき、人によってさまざまです。

現在は、よりジェンダーフリーの考え方が当たり前に育っているZ世代の方も入社し、さらにLGBTQの方々に対する認知も広がりました。

副業・兼業が認められるなど、キャリア形成の幅も広がっています。

当然、シニア男性もこれらに影響を受け、ジェンダー意識がさらに多様になっています。

一方、こうした多様化はときに不安を呼びます。そうした悩みを共有できる場としても、
オールド・ボーイズ・ネットワークは存在感を保ち続けています。

シニア男性の子育て意識

キャリア意識やジェンダー意識が変わると、子育てに関する意識も変わります。
そして結果として、育児と仕事の両立への考え方も変わります。

1995年12月に総務庁青少年対策本部が公表した「子供と家族に関する国際比較調査の概要」では、当時0歳~15歳までの子どもを持つ父親、または母親に「子育ての意味」を聞いています。比較対象は日本、アメリカ、韓国です。
ちなみに、1995年生まれの方は、2022年で27歳になります。

日本では、「次の世代をになう世代をつくる」や「家族の結びつきを強める」の回答が多く、逆に「子どもを育てるのは楽しい」や「家の存続のため」が少なくなっています。

現在のシニア世代の子育て意識として、伝統的な家の継承意識が弱くなる一方、
子育てを楽しむまではいかないという、複雑な心境がうかがえます。

2005年に国立女性教育会館が公表した「家庭教育に関する国際比較調査報告書」をみると、1995年から10年後の子育て意識の変化が分かります。

そこでは「子どもを育てるのは楽しい」という問いに対し、「とてもそう思う」と答えた親が46.0%、「ややそう思う」と答えた親が44.8%と、90%以上の親が、子育てが楽しいと答えています。

こうした意識の変化にともない、育児と仕事の両立の意識も変わっていきます。
つまり、若い世代ほど、どちらかといえば働くことを優先する意識から、育児を優先する意識が強くなります。

事実現在では、男性育休の取得が促進されるなど、積極的に子育てに参加したい男性は、
どんどん増えています。

子どもを大切に思っていることは変わりませんが、シニア世代の子育て意識が、
若手や中堅世代の子育て意識とは違うことがうかがえます。

シニア男性の介護意識

シニア世代のキャリアやワークライフバランスを考えたときに、シニア世代でよく取り上げられるテーマが、「介護」です。

高齢者の介護は、従来から主に女性、特に「配偶者」や「娘」がその役割を担うことを期待されてきました。
近年では、男性の介護者が増えてきましたが、それでもその比率は30%~40%程度といわれています。

こうした介護への意識は、ジェンダー意識にもつながります。
つまり、女性には何かあったときには家にいてほしいと考え、家事や育児、病気の世話などを求めるのです。

このように、シニア世代のジェンダー意識を取り上げる際は、
介護をテーマにすることも必要です。

シニア男性向け研修事例紹介

これまでご紹介したように、
シニア男性は価値観が多様化していく環境に身を置いてきました。

そして、だからこそシニア男性は、ビジネスを進めるだけでなく、悩みが共有できる場としても、オールド・ボーイズ・ネットワークをもっています。

女性活躍を進め、インクルージョンを実現するためには、
このオールド・ボーイズ・ネットワークに女性が参画していく必要があります。

ですが、オールド・ボーイズ・ネットワークに、これまでとは異質な存在を迎え入れることには、気づきと勇気が必要です。

今回ご紹介する研修事例は、オールド・ボーイズ・ネットワークを形成しているシニア男性を対象に、オールド・ボーイズ・ネットワークがあることに気づいてもらい、そこに多様な価値観を入れることに対して、前向きになってもらうことを目的として実施した研修です。

【研修事例】

テーマ:
50代シニア社員向けダイバーシティ研修

ねらい:
・ダイバーシティ推進を不安視している状態から脱却する
・これからの働き方の軸をつくり、あらためて仕事に向き合うことができるようにする

内容:
① オリエンテーション
トレーナーからダイバーシティを推進する必要性を説明し、これからの仕事のために各自が何を取り組むべきかを意識してもらいます。
また、目下の悩みを共有することで、受講者同士話やすい場をつくります。

② 自分を整える
これまでの自分を大切に、“自己承認”するワークに取り組みます。
また、自分のもつアンコンシャスバイアスに気づき、オールド・ボーイズ・ネットワークがあることを認めます。

③ 家族をつくる
子どもが成長し、孫が生まれる一方、介護をする必要も出てくるなど、家族のライフスタイルは変化していきます。仕事のパフォーマンスを上げるためにも、パートナーとの関係を見直し、大切にすることを討議します。

④ 職場の関係性を見直す
若い世代や女性との人間関係について学びます。関係性を良くするコミュニケーションや、後輩の成長を大切にするキャリア形成支援について討議します。

⑤ まとめ
研修全体を振り返り、具体的におこなうワンステップを決め、全体共有します。

⑥ お悩み・質問コーナー
トレーナーに対して、個別で相談や質問を受け付け、悩みや不安を解消します。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回のコラムでは、最近話題の「オールド・ボーイズ・ネットワーク」についてご紹介しました。

弊社は、2008年の創業以来ずっと、人材育成研修を通じて、企業の「DE&I推進」を応援してきました。経験も豊富で、多様な切り口で、皆さまの「DE&I推進」のお手伝いをすることが可能です。

弊社では、個社ごとに完全オーダーメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが400名以上おり、
個社ごとに合った研修をプロデュースしております。

シニア男性向けダイバーシティ研修のバリエーションも豊富です。
是非自社の目的や課題に合った研修を実施してみてはいかがでしょうか。

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