突然ですが質問です。
夏休みの宿題、あなたは計画的に少しずつやるタイプでしたか?
それとも夏休みの終わりに近づいてから一気に片づけるタイプでしたか?
ちなみに私は後者のタイプ。夏休みが始まったころは、
「夏休みは1ヶ月以上もある」
「宿題でやることはすべて把握しているし、内容も決して難しいものではない」
「本気を出せばすぐに終わる」
「とりあえず夏休み前半は宿題のことは忘れて休みを満喫しよう!」
という結論にいたります。
夏休み中盤、念のため宿題の内容を再度確認。
「大丈夫、この内容なら頑張れば1週間で終わる!」
と、宿題の着手は先送りに。
そして夏休みもついに終わりが近づいてきます。
これまで十分に休みを満喫したし、いよいよ宿題を片付ける時。
「いざやってみると予想より時間が掛かるなぁ・・」
「あれ?このペースでは間に合わないかも?」
「やばい!これでは夏休み最終日までに宿題が終わらない!!」
・・・と、こんなことを毎年繰り返していたような気がします。
こうなってしまった原因は、宿題を先送りにしてしまう自分の意思の弱さもありますが、
そもそも宿題に必要な時間を読みまちがえていたためです。
次に仕事での光景を思い返してみてください。
同じように掛かる時間を読みまちがえていたために、大変な想いをしたことはないでしょうか?仕事は夏休みの宿題以上にシビアです。期限に間に合わなければ、残業で対応、お客様にも謝罪、無理に間に合わせようとしてミスをしたら、さらにお客様から怒られる。
誰でも一度くらいはこのような経験があると思います。だからこそ、
「与えられた時間は有効に使い、確実に仕事を期限内に間に合わせたい」
「できれば予定よりも早く終わらせ、余った時間は他のことに使いたい」
多くの人がこのように考えていると思います。
今回のテーマはタイムマネジメント。
限られた時間を有効に使い、着実に成果をあげていく時間管理の手法について解説します。
タイムマネジメントとは ~時間配分の可視化と時間短縮の工夫~
タイムマネジメントとは
”限られた時間を最大限に有効に使うこと”
を前提とした時間の管理です。
私たちは日々の生活や仕事のいたるところで「時間」と密接に関わっています。
さまざまなものの開始や終了のタイミング、どれだけ短時間で出来たか、またはどれだけ長時間続けられたかは、スポーツやさまざまな優劣の判断にも使われます。
また時給や日当というかたちで労働力をはかる尺度にもなります。
まさに時間の中に日々の生活や仕事が組み込まれており、スケジュールや実績管理というかたちで時間も管理されています。
しかし、予定時間や実績時間を記録するだけではタイムマネジメントとは言いません。
タイムマネジメントとは、ふつうにやれば1時間かかるものを半分の時間で終わらせる、
同じ1時間でも通常の2倍の成果をあげる、限りある時間を有効に使い最大限の成果を
あげるための時間管理のやり方です。
限られた時間を有効に使うためには、大きく二つのことをする必要があります。
それは「時間配分の可視化」と「時間短縮の工夫」です。
冒頭の夏休みの宿題を例にすれば、
まず、どれだけの宿題があり、それぞれにどれくらい時間が掛かるのかを認識することです。これが「時間配分の可視化」です。これが出来ないと、いくら手順や方法を完璧に把握していても、それが期日までに間に合うかどうかわかりません。
そして時間配分の可視化ができるようになると、そこに余分な時間や、短縮可能な工程があることがみえてきます。
これを踏まえてやり方や優先順位を見直すことが「時間短縮の工夫」です。
私の過去の経験で、最も緻密なタイムマネジメントをおこなった経験を例に説明します。
それは家族で大混雑している人気テーマパークに遊びに行った時です。
そのテーマパークでは、人気のあるアトラクションなら3時間以上並ぶこともあります。
テーマパークが開園してから閉園するまでは12時間しかありません。
無計画で行ったら乗りたいアトラクションの半分も乗れません。
事前に綿密な計画を立てる必要がありました。
私の計画では、人がまだ少ない開園直後は行列ができる前に人気があるアトラクションに向かいます。人が増えてきたら、それほど人気はないが前から乗りたかったアトラクションに並び、どうしても長時間待たされるものは、自分が代表で行列に並び、その間に家族はお土産物選びを済ませます。閉園時間が近くなれば、お土産のためにショップが混みだしますが、逆にアトラクションの行列はすきはじめるので、そこでまた人気のアトラクションを
ねらいます。
この計画どおりに遂行し、すべての予定を終えて帰るころには、とても疲れていましたが、同時に計画をやりきったという充実感もありました。それぞれのアトラクションでどれだけ待たされるのか、どの順番で周るのが最も効率が良いのか、これらを考え閉園までの時間を最大限に活用することは、まさにタイムマネジメントそのものでした。
タイムマネジメントのやり方
~どんなシチュエーションにも共通する3つのステップ~
タイムマネジメントですべき時間配分の可視化と時間短縮の工夫は、
その対象やシチュエーションに応じてやり方はさまざまです。
常に細かく時間を記録しながら、適宜タイムマネジメントをおこなうこともあれば、期限が迫っているものだけにフォーカスしてタイムマネジメントをする場合もあります。
やり方はさまざまですが、タイムマネジメント全体で見れば、その手順は大きく
「時間配分対象の整理」「時間配分」「実績をもとに時間配分の見直し」
の3つに分けられます。
<タイムマネジメントの手順>
1.時間配分対象の整理/時間の配分先を決める
2.優先順位や時間短縮を考えながら時間を配分
3.実績をもとにその後の時間配分の見直し
たとえば、一日の仕事で時間を効率的に使いたいといっても、その日の仕事の内訳がわからなければ、どこにどう時間を使うべきかがわかりません。まずはその日の仕事の流れを理解し、その手順をしっかり分解する必要があります。
時間配分すべき対象が整理されたら、その次は何から手をつけるべきか、どの順番でやるのが最も効率的かを考えます。ここでしっかり時間配分や優先順位決めがうまくできれば、全体の時間の中に余裕をもたらしてくれます。
最後はその仕事を実行しながら適宜調整することです。予定していた時間内に収まらなければ、その影響で以降の全ての工程が遅れる可能性もあります。遅れの度合いによっては全体の時間配分の見直しが必要です。
また、想定時間と実際の時間に違いが生じたことには必ず理由があります。その理由をしっかり分析して次のタイムマネジメントに活かすことが賢明です。
タイムマネジメントの秘訣
~タイムマネジメントの効果を高める3つのルール~
ここからはタイムマネジメントの効果を高めるためにすべき3つのポイントを紹介します。
ルールその1:タイムリミットは自分で決める
タイムリミットと聞くと、絶対に従わないといけないもの、もしもオーバーしたら怒られるものというようなネガティブな印象を抱きがちです。
出来ればタイムリミットなんてないほうが良いとさえ思うこともあります。
しかし、このタイムリミットをうまく活用できれば、仕事を進める原動力にもなり、また
効率アップのきっかけにもなります。
通常、仕事のタイムリミットは、その仕事をいつまでにやって欲しいという依頼する側の人が設定するものです。しかし、ここで相手に言われたままのタイムリミットで仕事をするのではなく、それよりも少し前のタイミングでタイムリミットを設定すると、もしも仕事に間違いがあったとしても、それを修正する余裕ができます。また思ったように仕事が進まない時も、やり方を見直しながらリカバリーする余地もあります。
また、最初の一歩を踏み出す効果もあります。
特に自分自身の勉強などは、自らタイムリミットを設定しない限り、その勉強はいつから
始めても良いという状態です。いつから始めても良いという状態は、いつまで経っても始められない原因になります。
資格の勉強を始めようと思っていたが、ついつい後回しにしている人は、
その資格をいつまでに取るべきかをイメージし、そのためにはどれくらい勉強の時間が必要か逆算で考えてみてください。
そうすることで勉強のタイムリミットを設定することができます。
ルールその2:コントロールできない時間を活用する
仕事は自分ひとりでやるものではありません。
誰もが自分以外の誰かと関わりあいながら仕事をしています。
これは仕事には、自分ではコントロール出来ない相手の時間があることを意味しています。
たとえば、資料作成の仕事では、資料作成は自分のペースでできたとしても、
その資料のチェックを誰かにお願いすると、資料チェックが終わるまでの間、
待ちの時間が発生します。
こうした待ちの時間は、日々の仕事の隙間で至るところに存在します。この隙間時間を無駄にせずに有効活用することができれば、全体的に時間短縮がはかれます。
なお、待ちの時間はあくまで相手の時間なので、実際にはどれくらい掛かるのかもわかりません。そのため、タイムマネジメントで各作業に必要な時間を整理する時は、ついつい自分が手を動かす時間だけで考えがちです。
しかし、仕事が完了するまでの間には、自分ではコントロールできない時間があることを
最初に認識し、それを踏まえた予定を立てるだけでも、タイムマネジメントの成果は何倍も高まります。
ルールその3:同じ時間でも時間帯が違えば全く別物であることを考慮する
朝起きてから出社するまでの1時間、出社した直後の1時間、昼休み直後の1時間、終業間近の1時間、これらはすべて同じ1時間ですが、どの時間帯でも同じ1時間分の成果が出せるとは限りません。
その理由は、自分のコンディションや周りからの影響を受ける度合いが時間帯によって
異なるからです。
たとえば、すでに疲れ切っている状態のところに、細かくて神経を使うような仕事をやろうとしたら、スピードが上がらないどころかミスをしてしまう危険性もあります。
また、いろいろな人から話しかけられるような時間帯には、じっくり考えることが必要な
仕事をしようとしても、なかなか考えがまとまらないものです。
どの時間帯に何の仕事をやるべきかは、その人の仕事内容と状況によってさまざまですが、一般的には頭を使う考える仕事は、朝のうちにやると効率が良いとされています。
自分の仕事内容と周りの状況を考慮して、それぞれの仕事をやる時間帯を決めておくと、
より効果的なタイムマネジメントができるようになります。
タイムマネジメント研修事例紹介
ここからは、弊社で実際に実施したタイムマネジメント研修の事例をご紹介します。
演習も含めた一日間の研修事例です。
【研修事例】
テーマ:
タイムマネジメント
ねらい:
・タイムマネジメントの基本を理解し仕事における時間の大切さを認識する。
・与えられた時間を活かし、仕事における成果を最大限に創出する力を身につける。
内容:
① オリエンテーション
トレーナーからタイムマネジメントを身につける必要性を説明し、
これからの仕事のために各自が何を取り組むべきかを意識してもらいます。
② タイムマネジメントとは
タイムマネジメントの目的と効果を説明し、日ごろの問題をとおして、
どんな場面でタイムマネジメントが必要なのかを討議します。
(1)タイムマネジメントとは
(2)リモートワークでのいろいろな問題
(3)【ワーク】いま、どんな問題がありますか?
③ タイムマネジメントの基本
効果的なタイムマネジメントの手法、タイムマネジメントと表裏一体である
タスク管理について学習します。
(1)時間を可視化する:アポイントメント管理のポイント
(2)仕事の流れを可視化する:タスク管理のポイント
(3)「予定外の仕事」による問題点と対策
(4)【ワーク】現状の問題点検討と実践プランの作成①
④ タイムマネジメントの応用
限られた時間の中で仕事効率をあげるために、必要な考え方や普段から意識すべきポイントを学習します。
(1)タイムパフォーマンスを高めるために
(2)仕事の優先順位と仕事量のコントロール
(3)タイムパフォーマンスを高める習慣
(4)【ワーク】現状の問題点検討と実践プランの作成②
⑤ リモートワーク下での業務効率を左右するコミュニケーション
リモートワーク下でも業務効率をあげるために、そのやり方や注意点などを討議します。
(1)リモートワークで仕事の効率はあがるのか?
(2)リモート会議を効率化する
(3)メール・チャット・ミーティングの使い分け
(4)【ワーク】コミュニケーションに関するグループルール
⑥ まとめ
研修全体を振り返りながら、タイムマネジメントの必要性と具体的なアクションを
再認識します。
(1)質疑応答
(2)振り返り
弊社では、個社ごとに完全オーダーメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが400名以上おり、
個社ごとに合った研修をプロデュースしております。
タイムマネジメントをテーマにした研修バリエーションも豊富です。
本記事を参考に、是非自社の目的や課題に合った研修を実施してみてはいかがでしょうか。