リーダーシップ⑥ 変革型リーダーシップってなに?

現代のビジネスにおいて、10年先でも20年先でも変わらずに、
同じ事業や仕事を続けられることは稀なことではないでしょうか。

特に近年では、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、世の中の情勢が不透明でかつ、
これまで以上に早く移り変わっているため、時代の要求に応えるサービスを
提供し続けることが困難になっています。

人事業界でも、HR Techが急速に普及し、これまでの仕事の進め方が
変わりつつあるだけでなく、HRBP(戦略的人事)という言葉も出始めるなど、
これまでの人事のあり方を変える必要が出てきていますよね。

企業を取り巻く外的環境だけでなく、企業で働く人々の意識も変化しています。
2020年6月に株式会社リクルートマネジメントソリューションズが発表した、
2020年新入社員意識調査では、「あなたが社会人として働いていく上で
大切にしたいことは何ですか?」という質問に対し、
「仕事に必要な スキルや知識を身につけること」と答えた人が過去最高となりました。

また、「仕事で高い成果を出すこと」と答えた人も過去最高となる一方、
「何事も率先して真剣に取り組むこと」
「新しい発想や行動で、職場に刺激を与えること」と答えた人は過去最低となりました。

求める職場環境についても、「お互いに助けあう」と答える人が急増する一方で、
「活気がある」「お互いに鍛えあう」と答える人は減少の一途をたどるなど、
働く人々の意識が変わってきていることが窺えます。

変化の激しい現代において、企業を成長・安定させるには、常に社内外の変化に適応し、
挑戦し続けることが必要不可欠です。

そんな時に求められるのが、変革型リーダーシップです。

変革型リーダーシップとは何か

変革型リーダーシップは、1977年にハーバード大学のZaleznikが
リーダーシップ(新たな事業の創出を行う)とマネジメント(既存事業の管理をする)の
区別をした考え方を参考にして生まれ、1980年代のアメリカで広がりました。

変革型リーダーシップの定義として分かりやすいのは、1986年にノール・M・ティシーが提唱した「生き残りのために企業を変化させることができるリーダーシップ」ではないでしょうか。

当時のアメリカは経済の停滞期にあり、ジャパンアズナンバーワンという
書籍が出るほど日本企業が世界で活躍し、日米貿易摩擦が問題となっていた時期です。
そうした中で、アメリカの産業や企業には、変革の必要性が唱えられていました。

そんななか、社会の需要に合わせて組織を変革し、メンバーに強い影響力を与えるカリスマ的なリーダーが求められていたのです。

変革型リーダーシップ理論

変革型リーダーシップで良く知られているのが、コッター理論です。
コッターは、リーダーシップとマネジメントの期待役割と関心領域を明確に区別し、
以下の表のように整理しました。

①方向性の設定 vs 計画と予算の策定
マネジメントの課題のひとつは、決められた目標を達成するために、
秩序だった計画を立案することです。

一方でリーダーシップの課題は、組織やチームの方向性を設定し、
顧客やメンバーなど重要なステークホルダーの利益にどのように貢献できるか
ビジョンを描くことです。

②人心の統合 vs 組織編成と人員配置
マネジメントの課題は、正確で効率的に計画を遂行できる組織づくりです。
たとえば、人員配置、指揮命令系統、給与制度などが組織づくりに当たります。

リーダーシップの課題は、メンバーや関係者とコミュニケーションを取り、
信頼を獲得することです。メンバーから信頼されることで、
組織やチームの目線がそろい、メンバーの主体性も高まります。

③動機付け vs 統制と問題解決
マネジメントには、管理を強化し、リスクを減らすことが求められることに対して、
リーダーシップは、ビジョンの実現に向けてメンバーや関係者のエネルギーを
高めることが求められると定義されます。

たとえば、達成感、自尊心、社会に求められることをしている感覚など、
基本的な欲求に訴えて、メンバーを動機付けることがリーダーの役割です。

このコッター理論は30年以上前の発表ですが、現在の考え方にも通じています。

現在では、リーダーシップを発揮できるタイプとマネジメントで活躍するタイプとに
単純に分けて考えるのではなく、その人のリーダーシップ適性とマネジメント適性の
数字をそれぞれに見比べながら、組織やチームの事情に合った配置や人材育成を
おこなえるようになっています。

変革型リーダーの3つの要素

そんな変革型リーダーシップには以下の3つの要素が必要だといわれています。

・カリスマ性
・個別的配慮
・知的な刺激

カリスマ性とは、ビジョンやミッションを明確に掲げ、さらに優れた能力や
目標達成への貢献などによってメンバーから信頼の対象となり、
ロールモデルとなって影響力を与えることを指します。

個別的配慮とは、メンバーそれぞれを個人として扱い、コーチングし、
アドバイスをすることです。

知的な刺激とは、メンバーに知的刺激を与えることによって、たとえば古い問題を
新たな方法で考えることにつなげることです。メンバーの創造力や問題解決力などを
高めることで、価値観に影響を与えます。

変革型リーダーシップの例

変革型リーダーシップを発揮した成功例にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、ひとつの事例としてHondaの本田宗一郎氏を紹介したいと思います。

初めて視察した海外レースで圧倒的な技術格差を見せつけられた本田氏は、
そこで折れてしまうことなく、海外強豪が参加するオートバイレースで優勝する、
という高い目標を立て、変革ビジョンを設計したといわれています。

レースで勝つためには、今までと同じようなエンジンを作っていては駄目だと考え、
エンジンの回転数を上げる技術開発を進め、1959年にレースに初出場し完走。
1961年のレースで初優勝を果たしました。

海外のレースで優勝する目標を掲げ、それを実現するためにエンジンの回転数を
上げるという主要戦略を設定し、Honda(当時は本田技研)の技術力を世界に
アピールすることを説くことで社員の挑戦意欲をかき立て、動機付けた事例です。

また、常に現場やお客様のことを考えていた本田氏は、社員から絶大な信頼を
得ていたとも言われています。

このように、仕事が生み出す価値の重要性に気づかせ、個人の利益だけでなく
チームに貢献するように促し、言われたこと以上の努力と結果につなげられるのが、
変革型リーダーシップの大きなメリットです。

変革型リーダーシップの問題点

ここまで、変革型リーダーシップについてご紹介してきました。

変革型リーダーシップの大きな特徴は、
「ビジョン」を持って組織変革を導いていくことです。

ですが、日本の組織は大きな変化を忌避する傾向が強く、カリスマ的な存在が組織内から誕生することを望まない体質があります。

日本の企業や社会はもともと安定していることに加え、決して悪いことではありませんが、歴史を大切にする風潮があり、これまで築き上げてきた現状を維持しようとする圧力が働きます。

そんなとき、「ビジョン」を掲げて変革の必要性を訴える存在がいたとしても、実際に周囲が動いてくれる可能性は、非常に低いと言わざるをえません。

よかれと思って行動したのに反発を買い、信頼を失ってしまうことすらあります。

日本で成功する変革型リーダーシップとは

変革は自分ひとりでなしえることではありません。
必ず周囲の人にも動いてもらう必要があります。

ですが、変革のための行動は、現状を変えることにつながります。
つまり、自分も他者も、こちらのコラムでもご紹介している、
コンフォートゾーンから抜け出さなくてはいけません。

そのためには、他者を動かす大きな影響力が必要不可欠です。
そして、同調性が強い日本人の行動力に影響を与える要因のひとつが「人間関係」です。

「この上司についていきたい」、「この人と一緒に働きたい」と思わせる行動を
普段からできていて初めて、変革型リーダーが掲げる「ビジョン」に同調してもらう
ことができるのです。

変革型リーダーを育成するためには

変化の激しい現代において、持続的に競争に勝ち、企業を存続していくためには、
いざというときに変革型リーダーシップを発揮できる人材を、
企業内で育てておく必要があります。

変革型リーダーシップはスキルの要因もありますが、それ以上に
内面の適合性が重要なため、採用のときにその内面を見抜くことは困難です。
ですが、後天的に身につけられる要素もあるため、多くの企業では、次世代を担うことを
期待されるような人材を集め、選抜型での研修を実施しています。

採用だけでなく、既存の社員やリーダー、管理職を育成するプロセスを構築していくことも企業の重要な課題です。

変革型リーダーシップ研修紹介

今回はそんな選抜型での変革型リーダーシップ研修の事例を紹介いたします。

【テーマ】
変革型リーダーシップマインド醸成研修

【ねらい】
・環境変化に対応した変革型リーダーシップの考え方とスキルを学ぶ
・影響力を持って、様々な立場の関係者を動かすメカニズムを学ぶ

【内容】
1)活躍するメンバーを増やすための変革型リーダーシップ
事前課題の外部環境分析をもとに、世の中の変化や社会・経済の状況や
ビジネス環境の変化を理解し、自社がいかに競争の激化に直面し、
生き残りをかけていることを認識します。

さらにその変化に対応するために、リーダーはメンバー一人ひとりの力を引き出し、
組織として成果を高めることが不可欠であることを認識します。

2)変革型リーダーシップと交流型リーダーシップ
従来のような賞罰でメンバーの能力を引き出すリーダーシップではなく、
仕事が生み出す価値の重要性に気づかせ、個人の利益を超えてチームに貢献できる
人材を増やす変革型リーダーシップを学びます。

そのために必要な、各メンバーのマインドセットの重要性を学びます。
具体的には、メンバーの信念や正義感に訴えかけることにより、
メンバーの意識を変え、情熱と能力を発揮させる方法を習得します。

3)影響力の法則
「この上司のために働きたい」と思わせるリーダーシップについて考えます。
メンバーに自分の仕事だけではなく、チームの目標達成にも貢献させる
ための魅力的なビジョンの描き方とは何なのかを演習を通じて学びます。

また、具体的にビジョンをどのように語り、メンバーとの目線を合わせればいいのかを、
ショートプレゼンテーション演習を通じて体得します。

4)影響力の落とし穴
こちらから熱心に働きかけたのに動かない相手に対して、
無理に影響力を発揮しようとすると、かえって影響力が低下してしまいます。

そうならないために、行動を左右する要素について学びます。

組織で働くビジネスパーソンの行動の多くは、
評価の基準、上司の期待、担当業務の性質など置かれている状況に
左右されることを理解し、メンバー個々人の目標を理解します。

メンバーの目標達成を手助けしながら自分自身も目標を達成するという
Win-Winな戦略策定のスキルを身に着けます。

5)今後に向けて
3ヶ月後、6ヶ月後に発揮したいリーダーシップを言語化します。
そのために、自分自身がどのような影響力を発揮し、どのメンバーを
どの程度までマインドセット醸成するのかをグループメンバーに宣言し
具体的な行動を開始します。

弊社では、個社ごとに完全オーダーメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが400名以上おり、
個社ごとに合った研修を実施しております。
本記事を参考に、是非自社に合った変革型リーダーシップ研修を
実施してみてはいかがでしょうか。

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