こんな考え方があったのか!『ラテラルシンキング(水平思考)』で柔軟に考える

現代社会はVUCAの時代と呼ばれ、これまでの常識を覆すような社会変化が次々と起こり、
将来を予測することが困難といわれています。

・DX推進などデジタル技術の急速な変化
・気候変動や新型コロナウイルス感染症などの環境変化
・グローバル化や人口問題、人生100年時代などの社会構造変化

など、一筋縄では解決・対応できない問題や、急激な変化をもたらした問題が多く、
しかもそれが多方面に渡っています。

しかし、私たちはこのような困難な時代にも企業を持続させなくてはいけません。
そんな中ビジネスパーソンには、

・革新的なアイディアを生み出すことができる力
・変化に適応できるソリューションを提供する力

が求められています。

そこで今、発想の枠を広げる思考法として
ラテラルシンキング(水平思考)」が注目を集めています。
今回のコラムでは、最新の研修事例とともに、この「ラテラルシンキング」について
ご紹介します。

ラテラルシンキングとは何か

ラテラルシンキングとは、物事の見方の「角度」を変えることで、
発想の枠を広げ、さまざまな視点から自由に発想しようとする思考方法であり、
英語の「ラテラル(=lateral)」が「横からの」「水平の」を意味することから、
日本語では水平思考と呼ばれることもあります。

言葉だけだとよく分からないと思いますので、具体例で説明します。
ラテラルシンキングは日常生活の色々な場面でその成果をみることができます。

今回取り上げる事例は、電車に乗るときに通過する「自動改札機」です。
今や、電車に乗るときは、ICカードを利用して「ピッ」とするだけです。

非常に便利な仕組みですが、特に開発当初は「ピッ」とした後の運賃計算に
一定の長い時間が必要でした。
特に首都圏は乗り換えも多く、複雑な計算が必要です。

計算速度は一朝一夕には上げられず、かといって計算が終わるまで改札の扉を
閉じたままにしておくと人がスムーズに動けなくなってしまいます。

論理的に考えるのであれば、改札の数を増やして対応しながら
計算速度を上げる開発を進める、などの対策が浮かぶと思います。

ですが、この問題を解決した方法は、「自動改札機を長くする」でした。
お客様が長い改札を通過する分だけ計算時間が稼げる、というわけです。

他にも、5個のリンゴを2人に平等に分ける事例があります。
通常であれば2つずつ配って、最後の1つを半分に分ける、
という方法が思い浮かびます。

一方で、リンゴをすべてジュースにして半分に分ける、という考え方が
ラテラルシンキング的な思考です。

このように、常識にとらわれず、水平に思考を広げて多角的な視点で
思考するのが、ラテラルシンキングです。

ラテラルシンキングとロジカルシンキング

ラテラルシンキングとよく対比される思考法に、
ロジカルシンキングがあります。
この2つの思考法の違いをみることで、よりラテラルシンキングの理解が
深まります。

最初にお伝えしたいのは、ラテラルシンキングとロジカルシンキング、
またはその他の思考法は、それぞれ対立する考え方ではなく、
互いに補完しあう関係にあるということです。
たとえばラテラルシンキングでたくさんアイディアが出たとしても、
ロジカルシンキングができないとそのアイディアを1つにしていくための検討を
具体的に進めることはできません。

今回ご紹介する2つの思考法以外にもさまざまな思考法があります。
それぞれを組み合わせて使うことで相乗効果を生み出すことができるのです。

ここからは、ラテラルシンキングとロジカルシンキングとの違いを説明します。
ロジカルシンキングは、垂直思考ともいわれ、既成概念をもとに
筋道をたてて深く掘り下げ、合理的かつ論理的な1つの結論を
導き出すことを目指す思考法です。
A→B→Cというように各ステップを正しくつなげて思考し、
1つの正解にたどり着きます。

一方でラテラルシンキングでは、解決策を導くための順番や過程は問題になりません。
筋道立てて考える必要はなく、スタートからいきなり答えに到達してもよいとされ、
唯一の正解もありません。

つまり、問題を解決するときに、「過程」を問われるのがロジカルシンキングで、
「結果」を問われるのがラテラルシンキングだといえます。

両者の違いをまとめた表をご覧いただくと、その違いがイメージできるのでは
ないでしょうか。

マインドを変えるシリーズのコラムで
紹介したように、常識に縛られることなく可能性を広げ、
行動や結果を変えるためには「見方」を変えなくてはいけません。

また、ダイバーシティ&インクルージョン推進の取り組みのなかでも、
アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を取り除き、“個性の違い”を
活かす考え方が広がっています。

ラテラルシンキングは、ビジネスはもちろん、多様性が求められる
さまざまな場面で役立つ思考法なのです。

ラテラルシンキングに必要な2つの力

ラテラルシンキングには、

①疑う力
②抽象化する力

の、2つの力が必要です。

①疑う力
アンコンシャス・バイアスのコラムでも紹介したように、
人は必ず、過去の経験や見聞きしたことの影響を受けて、
先入観や思い込みを持っています。
これは決して悪いことではなく、過去の経験や見聞きしたことがあるからこそ、
人や組織は効率よく、また間違いや失敗のリスクを回避しながら意思決定ができます。

ですが、ラテラルシンキングでは自由な発想が求められますので、
先入観や思い込みはおじゃま虫になってしまいます。

「もしかしたら違う見方もあるんじゃないか」
「なぜ今と同じでなくてはいけないのか」
などと「疑う力」がないと新しい発想は生まれません。

特にビジネスの場面でラテラルシンキングを活用するときには、
「前提を疑う」ことからスタートすることが重要です。

たとえば、公園でアイスクリームを販売したところ、
食べた後のカップやスプーンがベンチや芝生に捨てられてしまった、
「ゴミ問題」があったとします。

ここでの問題設定(前提)は、
多くの場合「出たゴミをポイ捨てさせずに回収するためには」に置かれます。
ですので、解決策として考えられる最も一般的な答えは、
「ゴミ箱を設置する」です。

ですが、問題設定(前提)を疑い、
「そもそもゴミがでない売り方をするには」と思考を変えられたらどうでしょう。
そうすると、カップではなくコーンに入れて販売する、という問題解決策も
浮かびますよね。

このように前提を疑うことで、新たな視点で発想できるようになります。

②抽象化する力
抽象化とは、物事の本質や機能に注目することです。

たとえば、自動車の事例が有名です。
フォードの自動車が急速に広がったのは19世紀末ですが、
当時はまだ馬車が主流でした。
ですので、より早く移動する手段として「より早い馬車」を
開発すべきだという考え方が常識的な発想でした。

ですが、フォードは当時一部の富裕層向けだった自動車に注目し、
できるだけ安く大衆に自動車を供給しようと、会社を立ち上げたのです。

ここでの抽象化の思考は、
馬車(具体的な対象)

早く移動するもの(抽象化)

大衆向け自動車(具体化)

です。馬車を「早く移動するもの」と抽象化することで、
大衆向け自動車という具体的な考えを思いつくことができたのです。

そしてその後自動車が普及し、ライバル各社が多彩なカラーや
デザインの自動車を発表するようになりました。
つまり、早く移動するものとしての自動車が当たり前になり、

自動車(具体的な対象)

人に自慢できるもの(抽象化)

多彩なモデル(具体化)

というように本質が変化したのです。

このように抽象化することで、本質や機能の見方を
変えることができます。

ラテラルシンキングで視点を変えるコツ

ラテラルシンキングでは、これまでの常識にとらわれることなく、
水平に思考を広げていきます。

そして、思考を広げてたくさんの解答を出すためには、ひとつの物事を多用な角度から
とらえて考える必要があります。

そのために、ここでは、オズボーンのチェックリストをご紹介します。
次のようなポイントに注意して、思考を広げていってはいかがでしょうか。

転用できないか
既存の商品をほかの用途で使えないか、違う商品に使えないか
応用できないか
ほかの商品で活用した技術やアイデアをマネできないか
変更できないか
一部を変更して、よりニーズに応えられないか
拡大できないか
今の商品を大きくすることで新たな使い方が生まれないか
(重くする、強度を上げる、広くするなどでもOK)
縮小できないか
今の商品を小さくすることで新たな使い方が生まれないか
(薄くする、軽くするなどでもOK)
置換できないか
位置や順番、工程や要素を入れ替えることはできないか
逆転できないか
上下左右、前後、役割、立場などを逆転することはできないか
結合できないか
既存の商品やサービス、要素を組み合わせて新しいものが生まれないか

ラテラルシンキング研修事例紹介

冒頭に述べたように、ラテラルシンキングを
身に付けることのメリットには、

・革新的なアイディアを生み出すことができる力
・変化に適応するソリューションを提供する力

などが挙げられます。

今回は、そんなラテラルシンキング(水平思考)に加えて、
ロジカルシンキング(垂直思考)も一緒に学び、問題解決思考の強化を
目指した研修事例をご紹介します。

テーマ:
ラテラルシンキング研修(1日間)

ねらい:
・ラテラルシンキングとロジカルシンキングの思考法を理解し、
問題解決のためにはその2つを柔軟に使いこなすことに納得感を持って
職場での実践イメージを持つ

学びのポイント:
・ロジカルシンキングだけでは解決できない問題に対して、
思考を切り替えることの必要性を理解する
・ラテラルシンキングの思考法について学ぶ
・ラテラルシンキングとロジカルシンキングを業務の中で使えるイメージを持つ

内容:
①エレベーター問題を考える
待ち時間が長いエレベーター問題を考えることを通じて、
ロジカルシンキングの限界とラテラルシンキングの必要性を実感します。
エレベーター問題とは、だれもが経験したことがある、なかなかエレベーターが
到着してくれないことに対する解決策を考えるものです。
エレベーターの数を増やしたり、速度を上げたりというのが一般的な考え方ですが、
「前提を疑う」ことで、たとえばエレベーターの横に鏡を取り付けて
待ち時間を短く感じさせる、などの新しい視点での解決法を考えることができます。

②ラテラルシンキングの必要性
新しい価値を提供し続けることが必要な時代であることを理解し、
ロジカルシンキングとの補完関係について学びます。
そして、実際に新しいアイディアをみつける練習をします。

③思考のツール~発散と収束~
マンダラートなどを活用したブレインストーミングや、
SCMAPER、シックスハット、マインドマップなど、先入観や思い込みから逃れ、
新しい発想が生まれる手法を体験し、習得します。
また、ロジカルシンキングを活かしてアイディアを収束させ、具体化する練習もします。

④活用のイメージをつかむ
これまでのまとめとして、
「既存の商品を使った新しいサービスを考える」演習をおこない、
職場での実践イメージを具体的に、受講者が現場で使えるよう背中を押します。

弊社では、個社ごとに完全オーダーメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが400名以上おり、
個社ごとに合った研修をプロデュースしております。
ラテラルシンキング研修のバリエーションも豊富です。
本記事を参考に、ぜひ、自社に合ったラテラルシンキング研修を実施してはいかがでしょうか。

関連記事
関連記事

“言われたことしかできない”主体性を発揮できない若手社員が一皮むけて成長するための人材育成と働く環境づくり

「そこまで言わないとわからない?」「なんで言われたことしかできないの?」と、ストレスを感じた経験は、誰もがお持ちではないでしょうか。今回のコラムでは、言われたことしかできない若手社員に対して歯痒い思いをしているリーダーのために、主体性を発揮できない若手社員を一皮むかせる方法について解説します。

Read More »

対話とは ~対話の意味や必要な理由、対話のやり方、対話と会話の違いを解説~

「管理職に昭和の関わり方をやめてもらって、部下と対話できるようになってほしい」と思う人事・教育担当者は多くいらっしゃいます。一方で、「わかっているけどうまくできない」というのが多くの管理職の方の本音です。対話をうまく活用することで、管理職の方は部下と信頼関係を構築し、部下はもちろん自分も成長させることができます。このコラムでは、対話の意味や必要な理由、対話のやり方、対話と会話の違いなどをご紹介します。

Read More »

上昇志向が持てない若手&中堅社員に必要な3つの対策

日本のビジネスパーソンは最も“学ばない”といわれ、また、最近の若手社員の4人中3人は出世を望まないともいわれています。なぜ、日本のビジネスパーソンは成長意欲や上昇志向が低いのでしょうか。 今回のコラムでは、真面目だけど出世や成長に対して強い思いがもてない若手・中堅社員の特徴や、成長意欲や上昇志向がもてない原因、彼らのマインドを変えるための対策について解説します。

Read More »

リーダーとは ~リーダーの役割や大切なこと、必要な要素やスキルを解説~

ニューノーマルといわれる時代を乗り越え、組織として持続的に成長していくためには、組織をけん引するリーダーの存在が不可欠です。近年では、リーダーシップを発揮するのに肩書きは不要で、一人ひとりがリーダーシップを発揮することが強い組織づくりには重要だという考え方が主流です。本日は、そんなリーダーの役割やリーダーにとって大切なこと、リーダーに求められる要素やスキルをご紹介します。

Read More »

若手社員の育成を成功に導くコミュニケーションのコツ 〜効果的な指導方法や若手社員の育成研修事例をご紹介〜

やっとの思いで採用した若手社員の定着や成長のために重要なのが、OJTや日々の業務でおこなうコミュニケーションです。ですが、相手と状況に応じた適切なコミュニケーションができなくては、若手社員育成にはつながりません。このコラムでは、忙しい上司でもできる、伸び悩む若手社員の成長を促すコミュニケーションのコツをご紹介します。

Read More »

ダイバーシティ研修の内容と選び方とは? ~目的や求められる効果を解説~

ダイバーシティ研修は、ダイバーシティ&インクルージョン推進の目的を実現するために、当事者、周囲の関係者、そして組織の意識や行動を変えるために実施されます。ですが、ひとくちにダイバーシティ研修といっても、漠然としすぎて、何をしていいのかイメージができない人事・教育担当者の方も多くいらっしゃいます。このコラムではダイバーシティ研修の全体像を、対象者別に整理してご紹介します。

Read More »

無料ダウンロード資料で情報収集

貴社名

お名前

Email



時期

Download files 【お役立ち資料】効果的な研修設計のポイント
【お役立ち資料】オンライン研修設計のポイント

【事例紹介】主体性を生み出す研修
【事例紹介】マインドを変える研修
【事例紹介】見え方を変える研修
【事例紹介】若手社員マインドセット研修
【事例紹介】グローバルリーダーマインドセット研修

【事例紹介】女性リーダー研修成功のポイント
【事例紹介】ダイバーシティマネジメント研修

【事例紹介】28歳までにはじめる女性キャリア研修
【事例紹介】女性活躍研修事例紹介5種

【事例紹介】働き方改革推進のための研修事例13種
【お役立ち資料】男性育休の現状とは
【事例紹介】シニアのキャリア自律.をうながす研修
【事例紹介】アンコンシャス・バイアスとは何か
【参考資料】高度外国人材はどんな存在なのか

【事例紹介】世代別キャリア開発成功のポイント
【事例紹介】コーチング研修事例紹介3種
【お役立ち資料】リーダーシップとは何か
【事例紹介】リーダーシップに必要なスキルとは何か
【事例紹介】変革型リーダーシップ研修事例

【事例紹介】言葉の持つ力「ファシリテーション研修」
【事例紹介】褒め方&叱り方を身につける研修
【事例紹介】伝える力と聴く力
【お役立ち資料】日常づかいの1on1対話スキル
【お役立ち資料】日常づかいのアンガーマネジメント

【お役立ち資料】研修で「行動変容」を定着させるには
【お役立ち資料】研修の事前・事後の取り組み紹介
【研修リアルストーリー】プレイバックシアター

 全てダウンロードする