2022年4月に、改正された女性活躍推進法が施行され、
これまで以上に推進が求められている女性の活躍。
ダイバーシティ&インクルージョン推進の必要性が叫ばれ、すでに長い月日が流れています。そして、ダイバーシティ&インクルージョンのなかで、最もポピュラーで、最も取り組まれてきたものが、ジェンダーダイバーシティです。
ですが、2022年になった今でも、男女平等が達成されたとはいえず、女性活躍推進は思うように進んでいません。
実際、男女共同参画社会形成への2025年までの取り組み指針となる「第5次男女共同参画基本計画」では、女性活躍推進の総指標ともいえる「2030」(2020年30%)を先送りし、「2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度」となることを新たな目標としました。
この20年、女性活躍を推進するために、
・女性および男性の意識改革
・多様な働き方の導入、法整備
・チームリーダーや管理職への女性登用
・女性のキャリア形成支援
などがおこなわれてきての、この現状です。
なぜ女性管理職は思ったように増えないのでしょうか。
女性リーダーはどのように育成したらいいのでしょうか。
今回のコラムでは、「研修」の観点から
女性活躍推進を応援する方法についてまとめました。
・女性管理職比率10%未満の企業におすすめの研修
・女性管理職比率が10~20%の企業におすすめの研修
・女性管理職比率が20%以上の企業におすすめの研修
を、それぞれご紹介しています。
いまだ正解がみつからないテーマではありますが、
皆さまの取り組みの一助となれば嬉しく思います。
・女性活躍推進法について詳しくしりたい方はこちらもご覧ください!
・なぜ、女性に活躍してほしいかを知りたいかたはこちらもご覧ください!
女性活躍推進を始めた時期による違い
皆さまの企業は、いつ女性活躍推進に取り組み始めましたか。
女性活躍推進の開始時期には大きく2つのパターンがあります。
①2005年「第2次男女共同参画基本計画」時期
1999年の男女共同参画社会基本法、2003年の次世代育成支援対策推進法を受けて動き出した企業です。
女性の長期的な活用推進を目指し、達成時期にとらわれずに、女性管理職比率30%を目標に推進する傾向があります。
この時期に推進をスタートした企業は、企業に根づく女性活躍に対する差別的な文化風土に時間をかけて向き合ってきています。
育児や介護に時間がとられる女性に管理職が務まるのか、無理に重い責任を負わせる必要があるのか、などの声に、丁寧に答え続けきた企業です。
②2010年「第3次男女共同参画基本計画」時期
2010年ごろから、2015年の女性活躍推進法までに女性活躍を推進してきた企業は、
「女性管理職比率30%」目標を意識していることが多いです。
速やかにかつ積極的に女性活躍に取り組もうという企業文化が醸成されており、女性管理職比率が高い傾向があるといわれています。
もともと女性社員が多い企業でも、この頃に女性管理職比率の目標を掲げた企業もあります。
女性が管理職として活躍する場とは
女性がリーダーや管理職として活躍するパターンには、主に以下の3種類があります。
①職域を限定しないパターン
性別の差がなく、職域を限定しません。
適性のある人材に、部門を問わず管理職として活躍してほしいと思っており、実際に管理職登用もしている企業です。
②専門職のリーダーとして活躍するパターン
業態の特性上、限られた職種に就く社員が多い企業によくみられるパターンです。
たとえば小売り業でいえば、売り場責任者のように、その場にいるメンバーの管理的立場として任用されるケースが挙げられます。
③女性管理職の活躍領域が限定されるパターン
多くの企業が悩んでいるのがこのパターンではないでしょうか。
管理部門や事務関係部門では女性管理職が多いものの、営業部門や工場の生産部門のように、働き方に融通をきかせづらいとされる部門では女性管理職が少ないケースです。
女性活躍推進研修の3パターン
ここからは、実際に弊社が実施した事例もまじえながら、
どのような女性活躍推進研修があるのかをご紹介します。
わかりやすくするために、女性管理職比率ごとに、研修施策をまとめました。
実際には、前述のような女性活躍推進を始めた時期や進み方、活躍のパターンの問題もあり、こんなに単純にはいきません。
ですので、弊社では個社ごとに課題を詳しくうかがい、すべての研修をフルカスタマイズでご提供しております。
ご興味を持っていただけましたら、ぜひこちらからお問い合わせください!
①女性管理職比率10%未満の企業におすすめの研修
女性管理職比率が10%未満の企業の主なテーマは、「管理職を目指す女性社員を増やすことと、企業の組織風土や歴史、価値観と向き合う」ことです。
女性社員がそもそも少ない場合は採用の問題ですが、人手不足から女性の採用は進んでおり、多くの場合、女性社員はいるものの、管理職を目指す女性が少ないことが問題となります。
このような企業は、女性を主な戦力として位置づけてこなかったため、女性の管理職育成ができていません。
ですので、40代以上で管理職を目指すことができる女性社員が少なく、新卒採用や中途採用により女性社員を増やし、管理職を目指させる傾向にあります。
そこで、ライフイベント前の社員を対象に、ライフキャリア研修や女性リーダー研修などを実施することで、退職を防ぎ、管理職を目指す女性を増やすことが、主な施策になります。
また、管理職のほとんどが男性で、これまで大事にしてきた企業風土もあります。
アンコンシャスバイアス研修などを通じて、男性管理職の意識を変えようとする研修もよく実施されています。
<女性管理職比率10%未満の企業におすすめの事例>
・これからのライフイベントを前に不安材料を払拭し、高いモチベーションで働いていく
スタンス・マインドを形成する研修
・ライフイベントによらず、自身のありたい姿を描き、早期に上昇志向をもってもらう研修
・持ち味を活かして周りを巻き込むリーダーシップスキルを習得し、女性管理職を目指す
マインドを醸成する研修
・管理職社員が、経営戦略の講演を通して、企業競争力を高めるために女性活躍推進が必要
なことに気づいてもらう研修
・男性管理職がD&Iやアンコンシャスバイアスを理解する研修
・女性と男性の違いや特性を理解し、多様性を活かした女性部下マネジメントのコツを習得
する研修
・管理職手前の女性社員とその上司の方々に、相互理解の促進と協働の意識を醸成する研修
②女性管理職比率が10~20%の企業におすすめの研修
この比率にいる企業の主なテーマは、「女性が活躍できる場の拡大とフォローアップ」です。
女性管理職比率30%達成を目標に、ある程度女性活躍が進んだ企業は、女性管理職への期待も高まり、女性に対してキャリアパスを示すことができています。
人事制度を改革する企業もあります。
たとえば総合職・一般職の区分を廃止するなど、女性がさまざまな職務や職位にチャレンジできるようにする、などの改革が挙げられます。
研修としては、ライフイベント後の女性社員を集めてリーダー研修をしたり、たとえば入社3年目・4年目のような若手社員に対してマインドセット研修をすることがあります。
<女性管理職比率10%~20%の企業におすすめの事例>
・長年異動もなく仕事内容もなかなか変化しない立場において、マインドを変え、
新たなことに挑戦できる土壌づくりをする研修
・一般職の意識や仕事の仕方からシフトチェンジして、総合職としての視点や仕事の仕方を
身につけられるよう指導サポートしていく研修
・管理職昇格への動機付けと、必要なスキルを習得してもらう研修
・管理職手前の女性社員に、ソーシャルスタイルを含めたコミュニケーションスキルを習得
してもらう研修
・若手女性社員に対して、求められる役割や発揮すべき価値についてのマインドチェンジを
してもらうことを目指す研修
・若手女性社員に対して、キャリアの前倒しをするマインドを醸成する研修
③女性管理職比率が20%以上の企業におすすめの研修
女性管理職比率が20%を超えてくると、女性管理職を目指す女性が一定数いる状態になります。そこで、「分母(女性管理職を目指す女性)を活かした、多様な人材の活用」がテーマになります。
「全員活躍」という言葉が使われることもあります。
社員に占める女性の割合が高い企業も多く、社内で女性が活躍することが当たり前となっています。結果、「属性に関係なく、適性がある人材を管理職に登用する」動きが活発になります。
先進的な企業では、非正社員を管理職に登用する事例もありますし、女性の役員を誕生させたいと考える企業もあります。
研修としては、男女関係なく管理職として必要なスキルを獲得させる研修をする企業もあれば、まだまだ残るアンコンシャスバイアスへの対処法を身につける研修を実施する企業もあります。
多様な働き方の浸透を目指して、ワーキングマザーやワーキングファザーに対して、さらに積極的な制度活用をうながすための研修を実施するなど、企業の状況に合わせて多彩な研修を実施するようになります。
<女性管理職比率20%以上の企業におすすめの事例>
・ポジションによらないリーダーシップを発揮し、自律的な働き方ガできる人材育成を
目指す研修
・次期管理職層の女性社員が、持ち味を活かして周りを巻き込むリーダーシップスキルを
習得する研修
・ライフイベントを迎えても今までと同様に活躍するために、会社に提言する研修
・全管理職が、ダイバーシティ&インクルージョン推進のために、アンコンシャスバイアス
を理解し、その対処法を身につける研修
・ワークライフバランス推進の視点で時短のため会議運営効率化を目的とした
ファシリテーションスキルを習得する研修
・「伝わる力」をテーマに営業場面や社内で使えるコミュニケーションノウハウを
習得する研修
・アサーティブコミュニケーションやネゴシエーションスキルを習得する研修
・育児期の男性、女性に対して、育児と仕事を両立しつつ、さらに活躍する場を広げて
ほしいことを伝える研修
・ワーキングマザーが増える中で、必ずしも彼女たちを戦力化できていない状況に対する
上司のマネジメント力向上を目指す研修
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回のコラムでは、女性管理職比率で区切って、女性活躍推進研修をご紹介しました。
実際には企業ごとに事情があり、その事情を十分にくみ取って、最も効果が見込まれる研修を企画する必要があります。
弊社は、2008年の創業以来ずっと、人材育成研修を通じて、女性活躍推進を応援してきました。経験も豊富で、多様な切り口で、皆さまの女性活躍推進のお手伝いをすることが可能です。
弊社では、個社ごとに完全オーダーメイドで研修をご提案しております。
パートナーとして協力いただいている外部トレーナーが400名以上おり、
個社ごとに合った研修をプロデュースしております。
女性活躍推進研修のバリエーションも豊富です。
是非自社の目的や課題に合った研修を実施してみてはいかがでしょうか。